インフォアジャパンが、クラウドベースのERPの最新動向について説明。ERPのクラウド化が進む中で必然的に生まれる、オンプレミスとクラウドが併存するハイブリッドERPについて、同社のソリューションを使えば構築が容易なことを訴えた。
インフォアジャパンは2017年6月15日、東京都内で会見を開き、クラウドベースのERP(基幹業務システム)の最新動向について説明した。
インフォアはグローバルでの顧客数が9万社以上というERP大手だが、日本国内では製造業や流通業を中心顧客として事業を展開している。特に、国内製造業の生産管理系のERPでは広く採用されている。インフォアジャパン社長の新造宗三郎氏は、同社のビジネス戦略として「業界特化ソリューションの浸透」「グローバルビジネス展開を支援」「クラウドソリューションの推進」の3つを挙げる。特に、「マイクロバーティカルと呼んでいる業界特化ソリューションは、アプリケーションの機能を細分化したコンポーネントを組み合わせることでカスタマイズする必要がない点が大きな特徴になる。これを、グローバル展開する国内製造業に提案している」(新造氏)という。
2016年から注力してきたクラウドERPについて、「3年前であれば、クラウドERPは製造業には全く認めてもらえなかったが、2016年からは検討段階に入りつつある。国内顧客のうちクラウドERPの採用は10%にとどまっているが、2020年にはこの数字を25%に高めることを目標にしている」(新造氏)とした。
2017年度(2017年1月期)の国内実績は、業界特化ソリューションが前年度比で30%伸びるなど堅調だった。新規顧客は、顧客数の25%、売上高の40%を占めた。既存顧客の25%がグローバル展開でインフォアのソリューションを採用。「海外で運用していた実績を基に、従来の日本国内にスクラッチシステムをインフォアに置き換えるという事例もあった」(同氏)。
インフォアだけでなく、有力ERPベンダーがクラウドERPの展開を強化している。SAPの「SAP HANA」、オラクル(Oracle)の「Oracle Cloud」、マイクロソフトの「Dynamix AX クラウド」、ワークスアプリケーションズの「HUE」などだ。
インフォア米国本社でバイスプレデント&北アジア地域担当マネージング・ディレクターを務めるグラハム・マコーラフ(Graham McColough)氏は「既存のオンプレミスERPとクラウドERPが共存したハイブリッドERPを容易に実現できるのはインフォアだけだ」と自社の強みを強調する。
実際に、国内のインフォアユーザーであれば長年「Baan(現在はInfor LN)」のユーザーであったりすることが多い。これを一気にクラウドERPに置き換えることは、移行作業や環境の整備、予算の手当てなども含めて容易なことではない。オンプレミスのERPを徐々にクラウド化し、最終的に全てがクラウドERPになるとしても、その途中には必ずハイブリッドERPが存在することになる。
インフォアジャパン エンタープライズクラウドソリューションアーキテクトの河西学氏は「ERPのクラウド化の動機として、コスト削減、セキュリティの確保、BCP対策などが挙げられるが、実際の現場ではグローバル化や新たなユーザーインタフェース、分析/リアルタイム性の確保など、生産性や業務効率向上に対する期待が大きい。そういった場合、クラウド化による有効性を確かめながら適用範囲を広げていくので、オンプレミスとクラウドが併存するハイブリッドERPは必然と言ってもいい」と述べる。
マコーラフ氏は「ハイブリッドERPではインフォアは極めて優位だ。競合他社はオンプレミスとクラウドでERPのアプリケーションが別物になっている。インフォアは、1つのアプリケーションでオンプレミスとクラウドに対応できるので、ハイブリッドERPを構築しやすい」と語る。
また、ミドルウェア「ION」を用いたオンプレミスとクラウドの接続なども、ハイブリッドERPの連動性を高める手法になるとしている。
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