NTTデータグループのSAP事業の中核会社であるNTTデータ グローバルソリューションズ(NTTデータGSL)が、今後の成長に向けさらに事業展開を拡大する方針を打ち出した。2016〜2018年度までの3カ年で、売上高年平均成長率20%超を計画しており、将来的に日系SAP事業者トップを目指すという。
NTTデータ グローバルソリューションズ(以下、NTTデータGSL)は2016年9月28日、東京都内で会見を開き、同社の事業展開について説明した。
NTTデータGSLは、NTTデータグループにおけるSAPのERPソリューションの導入/開発/保守などを行うSAP事業の中核会社として、2012年7月に設立された。その後同グループ内に分散しているSAP事業の一体化を図りながら事業拡大を続けてきた。
同社社長の大西俊介氏は「NTTデータグループでは、『SAP Global One Team』という方針に基づき、グローバルで整合性の取れたSAPソリューションを提供している。企業経営のグローバル化が求められる国内製造業にとって、SAPのERPソリューションは重要な選択肢だ。当社も、米国や欧州、アジア太平洋、中国など各地域のグループ会社と連携しながら、グローバリゼーションとクラウドファーストをキーワードに顧客への提案活動を進めたい」と語る。
現在、NTTグループのSAP事業のグローバル売上高は年間1600億円超に達し、41カ国に9000人以上のSAPコンサルタントを配置している。2008年に、欧州でSAPソリューション導入を手掛けるitelligence(アイテリジェンス)を傘下に収めたことを契機に、一気にSAP事業を拡大してきた。SAP自身も、製造業におけるERPのデファクトスタンダードとなるなど成長を継続している。大西氏は、「その一方で、NTTデータの国内におけるSAP事業は、面的にも質的にも不足していた。そこでNTTデータGSLを立ち上げたわけだが、この4年超の間でしっかりと成果を出すことができた」と強調する。
NTTデータGSLは2012年度に売上高30億円、従業員数278人だったが、2015年度は売上高97億6000万円、従業員数385人まで増えた。4年間の売上高年平均成長率は25%。成長の理由について大西氏は「独立会社となり、フレキシブルに人材を集められるようになったことが大きい」と述べている。顧客についても、従来の中小規模の製造業中心から、売上高で1兆円を超える大手企業への導入事例も増えているという。
大西氏は、既に成果を得た2013〜2015年度の3年間を会社確立/事業変革期とし、今後は売り上げ拡大/ポートフォリオ収益確保を進める。2016〜2018年度までの3カ年は、売上高年平均成長率20%超を計画しており、2015年度比で売上高、社員数とも1.5倍以上が目標となっている。そして2020年度で売上高400億円の達成を視野に入れており、日系SAP事業者としてNO.1と目指す。
SAPのERPソリューションは、ほぼ四半世紀ぶりの全面改定となる「S4/HANA」が2015年2月に発表されたところだ。SAP事業者にとって、従来バージョンの「R3」や「ECC」からS4/HANAへの移行(マイグレーション)や、S4/HANAの新規導入は大きな課題となっている。
NTTデータGSL 代表取締役常務の小川兼一郎氏は「S4/HANAについては、会計機能に当たる『Simple Finance』とロジスティクス機能に対応する『Enterprise Management』があるが、グローバルで見るとSimple Financeの導入が加速している。Enterprise Managementも欧州で導入が始まった。ただし日本国内でのS4/HANAの引き合いはあまり強いとはいえず、新規導入での問い合わせが中心だ」と説明する。
R3やECCからS4/HANAへの移行については、無理に進めるのではなく段階を追って提案していく考えだ。BIによる分析などをSAPのクラウドサービス「HANA」上で行う「Pure HANA」や、R3やECCなどのERPをHANA上で動かす「Suite on HANA」の導入を進めつつ、S4/HANAについてはアセスメントやPoC(概念実証)を実施していくという。「“大変”といわれている移行作業を容易にすることに力を入れて行きたい」(小川氏)という。
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