日本マイクロソフトがクラウドベースのERP「Microsoft Dynamics AX クラウド」を発表。クラウド「Microsoft Azure」上でERPの全機能を利用できるようにするとともに、ライセンス形態をユーザー単位の月額課金となるサブスクリプションモデルに変更した。
日本マイクロソフトは2016年3月22日、東京都内で会見を開き、クラウドベースのERP(統合基幹業務システム)「Microsoft Dynamics AX クラウド」を発表した。同社のクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」上で全機能を利用できるようにするとともに、ライセンス形態を従来のパーマネントモデルからユーザー単位の月額課金となるサブスクリプションモデルに変更。短期間でのシステム構築や月額課金による最適なコスト調整、Azure上で動作する「IoT Suite」と連動したIoT(モノのインターネット)対応が特徴となっている。250〜5000人規模の中〜大企業を中心に、海外展開や新規事業進出、企業買収の機会に合わせた採用拡大を目指す。
同社執行役でDynamicsビジネス統括本部長の岩下充志氏は「当社は『プロダクティビティとビジネスプロセス』『インテリジェントクラウド』「Windows 10+デバイス』という3つのテーマに基づいて経営を進めている。今回のDynamics AX クラウドは、これらのうちワークスタイル変革のリーディングカンパニーを目指す『プロダクティビティとビジネスプロセス』の完成形といえるものだ」と語る。
Dynamics AX クラウドでは、全ての機能がクラウドベースのアプリケーションとなった。データベースなどの既存システムや他社のWebサービスなどと標準APIを介して連携できるので、自社に最適なERP環境を容易に構築できるとしている。クライアント機能もHTML5を活用してブラウザでアクセスする手法に変更された。米国Microsoft Dynamics製品マーケティングディレクター パパイン・リッチャー氏は、「当社の『Office 365』に基づくUI(ユーザーインタフェース)であり、シンプルなブラウザアクセスと分かりやすいタスクガイドによって誰でも簡単に利用できる」と説明する。
ライセンス形態は、3つのユーザークラスに分けた月額課金のサブスクリプションモデルとなった。最上位である「Enterprise」は1人当たり月額190米ドル、申請承認を行う上長など向けの「Task」は同30米ドル、一般社員向けの「Self Serve」は同8米ドル。これらにはAzureの利用料金も含まれている。「基本的には3つユーザークラスから成るシンプルなライセンス構成だ。また従来のパーマネントモデルと異なり、オフピークのタイミングでユーザー数を圧縮するなどしてコストを調整できるメリットがある」(リッチャー氏)という。販売チャネルも、従来のライセンスソリューションパートナー(LSP)経由に加えて、クラウドソリューションプロバイダー(CSP)経由でも販売する。
Dynamics AX クラウドは2015年後半のプレビュー期間を経て、2016年第1四半期からまずパブリッククラウドベースのERPとして展開を始める。2016年後半には、プライベートクラウドやオンプレミスでの提供、対象地域の拡大を予定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.