これらの接続機能のあるスマート製品やARは、企業はどのような変化に対応しなければならないのだろうか。ポーター氏は、企業の競争環境に大きな影響を与えることになると指摘する。
ポーター氏は「接続機能のあるスマート製品のもたらす変化を考えたとき、企業はさまざまな競争環境を考えなければならない。例えば、製品はソフトウェアの占める領域が増えて、メカや機構部品の割合が減ることになる。そうなればITベンダーとの影響力が増えるということになる。一方で、販売チャネルへの依存度は下がることになるかもしれない。また競争がシステムへと移行することから差別化のチャンスが増える可能性もあれば減る可能性もある。このような競争軸がさまざまに変化することになる」と述べている。
さらに、こうして競争軸が変化する中で、企業は10の戦略的選択肢をそれぞれ選択しなければならないとポーター氏は語る。10の戦略的選択肢は以下の通りだ。
ポーター氏は「実際に製品の形やビジネスの形が変わるときに、企業はこうした選択肢に対して最適な選択を行う必要がある」と述べている。
このように企業が新しい選択を行い、新たな役割を果たそうとする中で、組織体制も同じというわけにはいかない。ポーター氏は「組織の構造も大きく変わる。現在の組織構造のままでは、新たな時代には対応できない。接続機能のあるスマート製品であれば、研究開発の段階でITを組み込む必要が出るため、IT部門とR&D部門の境界線が曖昧になる。また、製品が集めてくるデータを専門で管理し運用していくような組織が必要になる。さらに、顧客とつながり続け製品をいつでもバージョンアップできる状況にあることを考えると『顧客の成功を管理する』ような部門なども必要になる」と新たな組織体制についての考えを述べている。
ポーター氏は「経済全体が大きく変わろうとしている。製造業界から始まって、こうした動きはサービス業界へも拡大していくことだろう。こうした新しい時代にどう対応していくかということが重要だ」と語っている。
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