マイケル・ポーターが語る“つながるスマート製品”による第3次IT革命LiveWorx 2015(1/4 ページ)

米国PTCおよび同社傘下のThingWorxは2015年5月4〜7日(現地時間)、米国マサチューセッツ州ボストンにおいてユーザーカンファレンス「LiveWorx 2015」を開催。IoTに関する新たな論文を公開した経済学者マイケル・ポーター氏が、IoTのもたらす変化について講演を行った。

» 2015年05月07日 06時00分 公開
[三島一孝MONOist]

 米国の大手CAD/PLMベンダーであるPTCおよび同社傘下でIoTプラットフォームを展開するThingWorxは2015年5月4〜7日(現地時間)、米国マサチューセッツ州ボストンにおいてユーザーカンファレンス「LiveWorx 2015」を開催。2015年5月5日には、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)に関する新たな論文を公開した経済学者マイケル・ポーター氏が、IoTのもたらす変化について講演を行った(関連記事:IoTで生み出す“デジタルの双子”、新たに解析企業の買収なども発表)。

 ハーバードビジネススクール教授で、「競争の戦略」や「5つの力」などの著書を持つ経済学者マイケル・E・ポーター(Michael E. Porter)氏は、米国PTCの社長兼CEOであるジェームス・E・ヘプルマン(James E. Heppelmann)氏と共同で2014年11月にハーバードビジネスレビュー誌に、最新論文「IoT時代の競争戦略(How Smart Connected Products Are Transforming Competition)」を公開している。講演では、この論文を執筆したポーター氏とヘプルマン氏が登壇し、「IoTが企業にどのような変化をもたらし、どういう決断をしなければならないか」という点について解説した。


photo 講演を行う経済学者マイケル・E・ポーター氏(クリックで拡大)

IoTは第3次IT革命

 IoTによる変化についてポーター氏は「第3次IT革命だ」と指摘する(関連記事:製造業に襲い掛かる第3次IT革命の波)。もともと物理的なプロセスのみでメカニカル製品のみ存在する世界だったのに対し、1960〜1970年代にかけて第1次IT革命の波が訪れる。これにより、個々の活動についてはITにより自動化が進むことになる。注文処理や経費の支払い、CAD、MRPなどバリューチェーン上の個々の活動に関する情報の収集や各種処理などを自動化。各活動における膨大なデータを収集・分析できるようになったことで業務における生産性が向上が進んだ。

 2度目の変革が1980〜1990年代だ。これはインターネットの誕生である。世界中のどこからでも低コストで接続できるようになったため、社外の納入業者や販売チャネル、顧客を巻き込み、従来にない大規模な業務活動間の調整と統合が行えるようになった。バリューチェーンの分散と統合が進んだともいえる。

 そして、第3の変革の波とされるのが現在のIoTによる変革だ。あらゆる製品にセンサーやプロセッサー、ソフトウェア、接続機能が組み込まれ、事実上コンピュータが各製品に内蔵されているような状況になった。このつながるということを生かし、クラウド上に製品データを収集し、分析することが可能となる。製品そのものが「スマートコネクテッドプロダクト(つながるスマート製品)」となるため、あらゆる企業に大きな変革をもたらすようになってきている。

 ポーター氏は「第3のIT革命の起こす波は非常に大きい。企業内で情報技術を活用するのではなく製品に情報技術を組み込んでいかなければならない。製品の機能や意味を変えていくということは組織にも大きな変化を生み出すことになる」と述べている。

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