紙からデジタルへ Tebikiが変える製造現場の働き方製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

Tebikiは、現場帳票の管理ツール「tebiki現場分析」のユーザー向けイベントを開催し、DXによる現場改善の価値を訴えた。

» 2025年08月12日 07時30分 公開
[坪田澪樹MONOist]

 Tebikiは2025年8月1日、東京都内で開催した「tebiki現場分析 第1回tebikiユーザー会」の内容を報道陣に公開した。ユーザー会は、Tebikiが提供するクラウドサービス「tebiki」の導入企業を招待し、実際のDX推進事例の紹介や導入企業間での交流を図り、現場改善についての知見を得てもらうイベントである。

 Tebikiは「tebiki現場教育」「tebiki現場分析」の2種類のサービスを提供しており、過去にtebiki現場教育に焦点を当てたユーザー会を計6回開催している。tebiki現場分析に焦点を当てたユーザー会の開催は今回が初めてで、当日は73人の参加者が集まった。

Tebikiが思い描く製造業の未来

Tebikiの貴山敬氏 Tebikiの貴山敬氏

 多くの製造現場ではあらゆる記録を紙で行う状態がいまだに続いており、これがPDCAサイクルの停滞を招いている。「紙に記録すること」が目的化してしまい、その後のデータ集計や分析が面倒となり、課題解決まで進まない。このような背景がある中で、Tebikiは現場のデジタル化を進めることで、人とデータがつながった現場業務の将来像を描く。

 Tebiki代表取締役 CEOの貴山敬氏は「生産管理システムや紙の帳票、作業者の頭の中など現場に散らばっているものを統合し、安全で確実なオペレーションを回す。そういう現場のPDCAサイクルそのものを作っていく」と考えを語る。

Tebikiが挑戦する社会課題(左)/Tebikiの目指す現場統合プラットフォーム(右)[クリックして拡大]出所:Tebiki

 tebikiは、現場作業者に向けて開発された現場支援システムだ。最初にリリースされたtebiki現場教育は、現場でのOJT (On-the-Job Training)に使用し、タブレットなどのスマート端末で撮影するだけで動画マニュアルが作成できる機能や人材スキルに基づいた教育計画を立案できる機能を持つクラウドサービスだ。

 tebiki現場分析は2024年にリリースされた新サービスで、現場で必要な帳票の作成から記録、承認、分析までの流れを一気通貫で行える。一気通貫にした最大の狙いは、定期的に発生する現場帳票の変更など、現場オペレーションに関わる業務を、情報システム部門や外部ベンダーに依頼することなく、「現場で管理できる」ようにすることだ。これにより、現場で何か変化点があった際でも迅速に対応でき、現場が主体となってPDCAサイクルを回せるようになる。

 貴山氏は「現場教育の次に必要になるのは、記録のデジタル化とその分析である。tebiki現場教育を開発していた時期からtebiki現場分析のサービス化を構想をしていた」と語る。

tebiki現場分析の詳細 tebiki現場分析の詳細[クリックして拡大]

tebiki現場分析に追加される多様な機能

 tebiki現場分析は新しい機能を次々に追加している。2025年6月には、週次や月次の設備点検記録を予定してアラートを出せる「タスク管理機能」を追加した。品質不良や設備不良など、現場で日々発生する不適合に対して確実なアクションを促すことができ、部門やシフトを跨いだタスク管理の漏れを防げる。

 2025年7月には品質管理で主流な手法の1つである「Xbar-R管理図」をシステム上で簡単に管理できる「Xbar-R管理図機能」を追加し、統計解析の知識がなくてもXbar-R管理図を活用できるようにした。

 今後はtebikiにAI(人工知能)を活用した機能の追加も予定する。現在は、Excelで作成された既存の帳票ファイルをアップロードするだけで、その内容の意味をAIが理解し、自動的に帳票を作成する「AI帳票作成アシスト機能」を開発中だ。統計解析の知識が無くても、普段の作業記録から生産状況が悪化する可能性を予測し、アラートを出してくれる「AI予知機能」も開発を計画している。

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