今だから知っておきたい米国、中国との貿易の内訳 何が強くて何が弱いのか小川製作所のスキマ時間にながめる経済データ(41)(1/3 ページ)

ビジネスを進める上で、日本経済の立ち位置を知ることはとても大切です。本連載では「スキマ時間に読める経済データ」をテーマに、役立つ情報を皆さんと共有していきます。今回は日本から見た米国、中国との貿易の内容についてサンキーダイヤグラムで解説します。

» 2025年11月25日 07時00分 公開

 前回は日本、米国、中国の貿易における他国との関係性の変化について解説しました。日本の貿易規模は拡大していますが、他国の拡大規模と比べると非常に緩やかな伸びであり、その分だけ、他国にとっての日本の存在感が相対的に低下していることが確認できましたね。

 今回は、日本から見た貿易関係を掘り下げていきます。日本対米国、対中国の貿易の内容について詳細を、サンキーダイヤグラムという表現方法で紹介したいと思います。

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日本の輸出入

 円安や関税問題など、貿易に関する外部環境が大きく変化しています。日本は既にかつてのように「高い国」ではありませんので、輸出を増やしていく転機を迎えているとも言われています。

 その中で、日本にとっては、貿易面でも存在感が大きいのが米国と中国ですね。両国との貿易が具体的にどのような内容になっているのでしょうか。まずは日本の輸出/輸入全体のサンキーダイヤグラムを見てみましょう(図1)。

photo 図1 日本の2024年の輸出/輸入[クリックで拡大] 出所:OECD Data Explorerを基に筆者が作成

 図1は日本の輸出(左側)と輸入(右側)について、項目別の金額をサンキーダイヤグラムで表したものになります。単位は[10億ドル]です。項目としては、工業製品、農林水産物、鉱物製品、その他製品、その他と分かれています。

 サンキーダイヤグラムでは、項目ごとの金額が帯の太さとして表現されていますので、輸出と輸入のバランスはどのようになっているのかを、左右の項目別に視覚的に確認できます。

 2024年の日本の輸出は707.4[10億ドル]、輸入は742.7[10億ドル]となっていて、差引で35.3[10億ドル]の輸入超過となっています。中身を見てみると、輸出も輸入も工業製品が大半を占めていますが、工業製品だけを見れば輸出の方が超過しています。

 輸入のうち鉱物製品が大きな割合を占めており、工業製品やその他と合わせると輸入の方が超過しているという様子が分かりますね。

 鉱物製品(Mining and quarrying products)は、石炭、原油、天然ガス、鉱石などです。日本はエネルギーや資源を輸入し、製品を輸出するという加工貿易が主体と言われていますが、その傾向が今も継続している様子がうかがえます。

 一方で、工業製品は輸出が超過していますが、中身を見ると「電気電子機器・機械・装置」(「コンピュータ・電気/光学機器・電子機器・機械・装置」が長いのでこのように略します)と、「自動車・その他輸送機器」が大きく超過しているのが分かります。これらの分野では、今なお日本の製品の輸出が多いことが見て取れますね。

 このようにサンキーダイヤグラムは、内訳の比較をするのに大変分かりやすい表現方法です。同じような表現方法で、対米国、対中国の状況も見ていきましょう。

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