イベントでは実際にtebikiを活用して現場改善を進めた共栄工業の事例が紹介された。共栄工業は1948年に創業し、スチール製家具の生産/販売を主力とするメーカーである。システム収納やデスクサイドワゴン、納骨壇などの製品を展開し、品質マネジメントシステムの国際規格であるISO 9001や環境マネジメントシステムの国際規格であるISO 14001を取得している。
共栄工業では過去に自社システムで現場工程の見える化に取り組んだが、Wi-Fi環境が工場全域で整っておらず、構築に多大な費用と工数が掛かることから挫折していた。その後Tebikiから提案を受けて、費用と工数を最小限に抑えながら工程の見える化を実現できそうだと考え、tebiki現場分析を導入した。
共栄工業の加工課ではtebiki現場分析を導入することにより、月380枚ほど使用していた紙帳票が0枚になり、記録の無駄を一掃して効率化することに成功した。紙の記録は情報共有や進捗管理をするために記録のある場所に行かなければならず、その後のデータ転記に多くの時間を要していた。紙の帳票をデジタルにすることでコストを削減しつつ、QRコードを活用することで、製品情報や開始時間を自動で記録される状態を作り、作業者の負担を大幅に軽減した。
塗装工程の前処理における温度管理では、ダッシュボードで温度変動をリアルタイムで確認できるようにし、燃料消費量を抑えて管理コストを削減することに成功した。また、データに基づいた、最適な機械運用条件を見つけられるようになったという。
データが記録され共有されることで、作業者には「見られている」という適度な緊張感と、「見てもらっている」という安心感を与えることができ、記録の重要性を再認識してもらえるようになったという。これらがきっかけとなり、作業者自らがダッシュボードを見て改善点を話し合うような積極的な行動につながるようになった。また、帳票に記録をするという業務が改善の起点になり、結果として故障やトラブルを未然に防ぐことにも貢献している。
品質保証部では納品後の製品故障対応において、tebiki現場分析を導入することで、現場で写真を撮影して責任者のサインをその場で得られるようにし、報告業務を効率化した。サービス担当者が出先でもスマートフォンから報告書を作成できるようになり、対応も迅速化して顧客とのやりとりでも報告漏れや確認ミスが減少した。
共栄工業 京都工場 品質保証部 部長の竹村由嗣氏は「tebikiはISOにおける『文書』と『記録』の管理への親和性が高い。マネジメントマニュアルについてはtebiki現場教育で作成し、記録についてはtebiki現場分析で管理する」と語る。
同社はTebikiが提供するツールを活用することで、ISOに準拠した作業改善の実現を目標に掲げている。具体的には、tebiki現場教育を活用することで、作業標準書を動画で整備して、誰でも同じ作業ができる仕組みを構築し、ISOで必要な文書を管理する。tebiki現場分析を活用することで、作業記録/異常記録をデジタル化して、記録の真正性/追跡性を確保し、ISOで必要な記録の管理も行う。
最終的には、工場内のあらゆるデータをリアルタイムで可視化することで、数字や時間の変化から未来を予測して、管理者や役員が現場に行かなくても状況を判断できる状態にし、誰もが状況を把握して改善を回すことができる現場を目指す。
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