経済産業省 中小企業庁は、受注側中小企業の視点から価格交渉のしやすさや価格転嫁の現状、支払い条件についての評価を公開した。支払い条件では、パナソニックAP空調・冷設機器、芝浦機械、テルモ、三菱鉛筆、牧野フライス製作所、住友重機械工業などが最低評価企業として挙がった。
経済産業省 中小企業庁(以下、中小企業庁)は2025年8月5日、受注側中小企業の視点から価格交渉のしやすさや価格転嫁の現状、支払い条件について2025年3月の調査結果を公開した。その結果、支払い条件では、パナソニックAP空調・冷設機器、芝浦機械、テルモ、三菱鉛筆、牧野フライス製作所、住友重機械工業、シャトレーゼなどが最低評価企業として挙がった。
中小企業庁では、中小企業が適切に価格交渉や価格転嫁を行える環境整備のために毎年3月と9月を「価格交渉促進月間」と設定している。その成果を確認するために、価格交渉と価格転嫁の対応状況について、これらの対象月に中小企業からアンケート調査を行う他、下請けGメンによるヒアリング調査を実施し、取引先企業の評価を行っている。
2025年8月5日に公開されたのは、2025年3月の価格交渉促進月間に実施されたフォローアップ調査の結果だ。10社以上の受注側中小企業から「主要な取引先」として挙げられた発注側企業446社と71の国の機関や団体について、「回答企業数」、受注側中小企業からの「価格交渉に対する回答状況」「価格転嫁に対する回答状況」「支払い条件に対する回答状況」の評価などをリスト化した。
回答企業数については、中小企業から主要な取引先企業だと指定された数がそのまま示されているが、「価格交渉」と「価格転嫁」「支払い条件」の回答状況は、受注側中小企業が発注側の対応について点数化し、最終的にア〜エの4段階で評価している。
「価格交渉」についての点数はまず「交渉が行われたかどうか」がポイントとなる。「行われた」場合、発注側企業から「申し入れがあった」場合は10点、「申し入れがなかった」場合は8点とする。
一方、「価格交渉が行われなかった」場合は、受注側中小企業から申し入れがあったが、「コストが上昇せず、交渉は不要と判断し、申し入れを(受注側中小企業が)辞退した」ケースと「コストが上昇したが、交渉は不要と判断し、申し入れを(受注側中小企業が)辞退した」ケースは10点としている。ただ、「コストが上昇したが、発注量減少や取引停止を恐れ、申し入れを辞退した」というケースは、中小企業が自主的に交渉を取り下げた場合でも減点され5点と設定されている。
さらに「(発注側企業側から)申し入れがなかった」事案では「コストが上昇したが、発注量減少や取引停止を恐れ、交渉を申し出なかった」ケースは−5点、「コストが上昇し、交渉を申し出たが、応じてもらえなかった」ケースは−10点と厳しい評価となっており「価格交渉を申し出にくい雰囲気」そのものを問題視しているといえる。
「価格転嫁」については、コスト上昇分に対し、そのまま「1割転嫁」で1点、「2割転嫁」で2点と設定される。コストが上昇している中で減額された場合は−3点という基準となっている。
「支払い条件」については、支払い手段が「現金のみ」である場合は10点となる。手形や電子記録債権、ファクタリングによる支払いがある場合、交付から支払いまでが60日以内で、仕組みを発注側企業が負担していれば5点、受注側企業に負担を強いている場合は−5点となる。交付から支払いまでが60日以上となり、仕組みを発注側企業が負担していると0点、受注側企業に負担を強いていると−10点となる。支払いの仕組みやそれに関連する負担は、基本的には発注側企業が担うべきだという考え方となっている。
これらの点数の平均値を以下のような形で分類し、発注側企業をリスト化した。アが受注側企業にとって最も取引しやすい企業、エが最も取引しにくい企業という評価となっている。
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