eパワーのシステムは、ノートなどで搭載されてきた排気量1.2lの自然吸気3気筒エンジンと、リーフの駆動用モーターやインバーターを組み合わせている。駆動用リチウムイオンバッテリーと発電機は新規に開発したものだという。また、駆動用リチウムイオンバッテリーは、電気自動車ではなくハイブリッド車向けに開発したとしている。エンジン/インバーター/モーター/発電機は一体化してエンジンルームに収めた。駆動用リチウムイオンバッテリーは前席の下に配置している。
従来のように駆動用モーターとエンジンの駆動力を併用するハイブリッドシステムでは、エンジン駆動とモーター走行の切り替えだけでもエネルギーを失う。また、エンジンで走る際の振動が電気自動車らしさを損なうため、エンジンを発電のみに使うeパワーにこだわった。
エンジンを発電機として使う電気自動車には、BMW「i3」のレンジエクステンダーモデルがある。i3は直列2気筒で排気量647ccのエンジンをレンジエクステンダーとして搭載している。このエンジンは最高出力28kW/最大トルク56Nmで、121km分の走行距離を稼ぐ。燃料タンクは9lだ。これに対し、ノートの排気量1.2lの3気筒エンジンは最高出力58kW/最大トルク103Nm。燃料タンクは41lとなっている。
日産自動車が排気量1.2lのエンジンを発電用に選んだのは、小さすぎるエンジンでは発電のために回転数を上げる必要があり、大排気量ではエンジン自体の燃費が悪化するためだという。「街中でも静かに走行でき、2200〜2500rpmの最も燃費の良い範囲を発電に使えるのが、排気量1.2lのエンジンだった」(日産自動車の説明員)。エンジンはノートからそのまま流用するのではなく、アトキンソンサイクル化や燃費の改善など発電用途向けにチューニングした。
エンジンが始動するのは、登り坂などで加速が必要な場合や、渋滞時などにエアコンを使用するなどしてバッテリーの残量が減少した場合、暖房のために水温を上昇させる場合などだ。暖房を使用しても、水温が上昇した後はエンジンがオフになる。
エンジンルーム内のレイアウトは「とても苦労した」(日産自動車の説明員)。既にパワートレーンが詰まった中にリーフの駆動用モーターを新たに追加するためだ。解決策としては、12Vバッテリーを荷室の床下に移動し、駆動用モーターのケースを設計し直した。部品の小型化などはあまり行っていない。「後はギチギチに部品を詰めていく。衝突時にパワートレーンが移動することも踏まえ、安全性も確保した」(同社の説明員)。
eパワーの他車種への展開は現在議論中だという。ただ「日産自動車の最も小さいプラットフォームで搭載できたので、上の車格であっても搭載は難しくない」(同社の説明員)と見ている。
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