Volkswagenは、「パリモーターショー2016」において、完全自動運転と電気自動車の開発方針を示すコンセプトモデル「I.D.」を世界初公開した。プラットフォームは電気自動車専用で新たに設計。コンパクトカーの「ゴルフ」よりもやや小さいボディーサイズで同等の価格の量産モデルを2020年に発売する計画だ。完全自動運転は2025年の実用化を目指す。
Volkswagenは2016年9月29日(現地時間)、「パリモーターショー2016」(プレスデー:9月29〜30日、一般公開日:10月1〜16日)において、完全自動運転と電気自動車の開発方針を示すコンセプトモデル「I.D.」を世界初公開した。プラットフォームは電気自動車専用で新たに設計。コンパクトカーの「ゴルフ」よりもやや小さいボディーサイズで同等の価格の量産モデルを2020年に発売する計画だ。2025年までに年間100万台の電気自動車を販売する。また、完全自動運転は2025年の実用化を目指す。
コンセプトカーのI.D.では、電気自動車専用のモジュール化戦略「MEB」(Modularer Elektrifizierungsbaukasten)を紹介している。2020年以降に市場投入するさまざまな電気自動車の開発のベースになるという。
2020年に第1弾として発売する電気自動車は、ゴルフと比較すると全長が155mm短いが、ホイールベースは130mm長くなる。外形寸法は全長4100×全幅1800×全高1530mm。
MEBはパッケージングや電動パワートレインの配置に特徴がある。駆動用のリチウムイオン電池はフロアに収納し、シャシーと一体化した設計とした。車両の重心を下げるとともに、48:52と理想的な前後重量配分を実現する。駆動用モーターはリアアクスルと一体化。分離型サブフレームを採用したマルチリンク式リアサスペンションでハンドリング特性と静粛性を兼ね備えるとしている。駆動用モーターの最高出力は125kWで、最高速度は時速160km。走行距離は400〜600kmを設定する。
ホイールベースを長くすることにより、自動運転中にも快適に過ごせる車室内を目指す。I.D.はMEBによってスペース効率を向上できたとしている。これは今後、車室がコミュニケーションスペースとして重視されていく傾向をにらんだものだ。
キャビンには独立した4つの座席があり、シートレイアウトによっては自転車や額縁といった大きな荷物も積載可能になるという。ラゲッジスペースは最大960l(リットル)を確保した。
さらに、前輪の切れ角を増やせるフロント構造によって、最小回転半径を小さくする他、4つのドアで乗員保護に必要な強度を持たせてBピラーを廃止する。
従来のようなケーブルを使った充電に加えて非接触給電にも対応する。自動運転で非接触給電ステーションにクルマを向かわせて、充電することも可能にする考えだ。
I.D.に搭載した自動運転技術は2025年に実用化を目指したものだ。自動運転用のセンサーは格納式で、自動運転モードに切り替えるとルーフから4つのレーザースキャナーが姿を現す。超音波センサーやレーダーセンサー、サイドビューカメラやフロントカメラも組み合わせる。自動運転モードの時は、車体がブルーの光を発することで周囲に自動運転中であることが分かるようにする。
また、クルマ同士もしくはクルマとヒトのコミュニケーションを図るため、ヘッドランプをクルマの目に見立てて活用する。停止中は目を閉じているように、起動時は目を開いたように動作する。さらに、速度の上昇に合わせて目つきが鋭くなるようにしたり、右左折時は曲がろうとしている方向を見たりする。歩行者や自転車を認識すると、目を向けたように表現し、歩行者や自転車がクルマに注意を向けやすくする。
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