トヨタ自動車と米国ウェイモは、自動運転技術の開発と普及に向けた戦略的パートナーシップ締結の事前契約(preliminary agreement)で合意したと発表した。
トヨタ自動車と米国ウェイモ(Waymo)は2025年4月29日(現地時間)、自動運転技術の開発と普及に向けた戦略的パートナーシップ締結の事前契約(preliminary agreement)で合意したと発表した。トヨタ自動車傘下でソフトウェアおよびモビリティの新技術開発を担当するウーブン・バイ・トヨタも協業の検討に加わる。
今回の合意では、トヨタ自動車とウェイモが互いの強みを結集して、新たな自動運転の車両プラットフォーム開発における協業を目指す。ウェイモの技術とトヨタ自動車のクルマづくりの知見を生かし、トヨタ自動車が将来市販する車両の自動運転技術の向上を目指して両社で模索する。なお、協業の範囲や契約の詳細についてはさらなる議論を経て今後つめる。
ウェイモは、米国サンフランシスコのベイエリア、ロサンゼルス、フェニックス、オースティンで毎週25万回以上の自動運転車の運行を行っており、ドライバーを必要としない自動運転車の技術開発で先行している。走行距離も累計で数千万マイルに達し、人間が運転する場合と比べ、負傷を伴う衝突を81%削減するなど、ウェイモが運行する場所において道路の安全性を高めていることをデータが示しているとする。また、さまざまな車両プラットフォームや事業に柔軟に対応できる自動運転システムの開発にも時間をかけてきたという。ウェイモは、自動運転車による配車サービス「Waymo One」も拡大しており、今回のトヨタ自動車との戦略的パートナーシップを通じて、市販車両向けの技術の一部を導入していく予定である。
トヨタ自動車は、交通事故ゼロ社会の実現に向けて自動車関連の事故の回避を目指した自動運転や先進安全分野の研究開発を進めており、「安全技術は普及させてこそ社会に貢献できる」という考え方に基づき、独自の先進安全パッケージ「Toyota Safety Sense」として自動車への実装を進めてきた。今回のウェイモとの協業を通じて、運転支援技術の高度化および自動運転技術の普及をより一層進めていく方針である。
なお、トヨタ自動車は自動運転車の開発に向けてこれまでもさまざまな協業や買収を行っている。例えば、2018年8月に発表したウーバー(Uber)とのライドシェア向け自動運転車の共同開発や、ウーブン・バイ・トヨタの前身のウーブン・プラネット・ホールディングスによる、2021年4月の米国配車サービスのリフト(Lyft)の自動運転開発部門「Level 5」買収などがある。ただし、現時点ではこれらの取り組みに基づく自動運転車による配車サービスなどの成果は発表されていない。
ウェイモ 共同CEOのテケドラ・マワカナ(Tekedra Mawakana)氏は「今回の戦略的パートナーシップを通じて、トヨタの車両を当社の配車サービスに導入し、ウェイモの自動運転技術でトヨタの顧客に感動を届けていくことを楽しみにしている」と述べている。
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