トヨタ自動車は、エレクトロニクスを中心とした最先端テクノロジーの展示会である「CES 2025」に先立ちプレスカンファレンスを行い、新たなモビリティを生み出すテストコースとして街づくりを進めている「Woven City」の進捗状況について紹介した。
トヨタ自動車は2025年1月6日(現地時間)、エレクトロニクスを中心とした最先端テクノロジーの展示会である「CES 2025」(2025年1月7〜10日、米国ネバダ州ラスベガス)に先立ち、プレスカンファレンスを行い、新たなモビリティを生み出すテストコースとして街づくりを進めている「Woven City(ウーブンシティ)」の進捗状況について紹介した。
トヨタ自動車では、2000年のCESで当時代表取締役社長だった豊田章男氏(現代表取締役会長)がプレスカンファレンスを行い、実証都市としてのWoven Cityのコンセプト(当時はコネクティッド・シティ」プロジェクト)を紹介していた。5年を経て、Woven Cityの第1期工事が完了したことから、豊田氏が5年ぶりにCESのプレスカンファレンスに登壇し、Woven Cityのコンセプトをあらためて訴えるとともに、実証都市であるWoven Cityへの参加を呼び掛けた。
Woven Cityは静岡県裾野市のトヨタ自動車東日本(TMEJ)の東富士工場の跡地に建設。自動運転車やパーソナルモビリティ、ロボット、スマートホームなどの先端技術を実際の生活環境の中で試すための実験的なスマートシティーで、特に新たなモビリティの姿も含めたテストコース(実証の場)としての役割を果たす。トヨタ自動車とグループ会社であるウーブン・バイ・トヨタによって、開発が進められてきた。そして、2024年10月末に最初の実証を開始するPhase1の建物が完成したという。2025年秋以降、トヨタ自動車やその関係者を中心に入居を進め、Phase1では最終的に約360人が居住予定だという。将来的には全エリアで2000人に拡大する予定としている。
Phase1での建設物は設計に当たり、環境への配慮のみならずクオリティオブライフ(QoL)の向上など人を中心に据えた取り組みを行っていることが認められ、日本で初となる「LEED for Communities」で最高ランクであるプラチナ認証を取得した。また、TMEJ東富士工場の建屋を一部残し、モノづくりの革新につなげる役割を果たすようにリノベーション工事を進めているという。
モビリティのテストコースとして位置付けられているWoven Cityでは、モビリティの拡張を目指すトヨタやそれ以外の企業が、新たなプロダクトやサービスを生み出す実証の場だ。そこに参加する企業をInventors(発明家)とし、今までENEOS、日本電信電話(NTT)、リンナイが参加していたが、新たにダイキン工業、ダイドードリンコ、日清食品、UCCジャパン、増進会ホールディングスが新たにInventorsとして参加を表明している。今後はスタートアップや大学、研究機関なども呼び込んでいく方針で、一つの取り組みとして、2025年夏頃にアクセラレータープログラムの募集を開始する。
豊田氏は「トヨタはこの街にどれだけの費用をかけているんだと考えているかもしれないが、それは大きな問題ではない。なぜなら、グローバル市民としてトヨタには全体の将来に対して責任があると考えているからだ。われわれは発明は『掛け算』によって生まれると考えている。ウーブンシティはコラボレーションの核となる場所だ。未来は人によってだけでなく心によって動く。違いや変化を生み出すこの話に共感を持つ人は、ぜひウーブンシティに来てほしい」と呼び掛けている。
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