物流へのIoT適用を考えるトヨタ生産方式で考えるIoT活用(6)(3/7 ページ)

» 2016年08月30日 11時00分 公開

4.バリエーションの増加→保有できる在庫に限りがある

 海外では、国内のように複雑な組み合わせによって仕様が多岐にわたるのではなく、限られていることが多いですが、現地の発展と共に自動車が一般的になるとユーザーの趣味嗜好に合わせてバリエーションも増えていきます。その多品種少量化に伴い在庫管理できる品種に限りが出てきます。

 在庫は売れるものだけたくさん保有し、たまにしか売れないものは全く在庫保有せず受注生産にするという割り切りを行うと、結局、欠品による飛び込み生産が発生し現場を混乱させます。

 在庫は、在庫を持つところ(製品、半製品、部品)をしっかり決めて適正量をしっかり確保しなければ安定した生産にはつながらないため、多品種になればなるほど、管理がうまくできなくなります。

5.サプライチェーン構造が不明確→最適物流の把握が困難

 国内でも製品、半製品、部品、原材料の経路を明確にすることは難しいですが、完成車メーカー、部品メーカー、物流会社の強固な連携基盤ができているため、極小の在庫を小まめに運んでも安定した物流を実現できています。特に、物流業者のドライバーはラインを止めないために、台風がくるというと何時間も前から物を荷造りして事前にトラックに積み込み、普段より早く出て生産拠点の近くで待つといった献身的な努力をすることが当り前となっています。海外のように輸送距離が長く、文化の異なる土地でこれと同じことをするのは大変困難です。

 上記のことから、在庫を保有する選択肢を採用することになり、管理工数が余分に掛かり、在庫保有に関わるリスクが高まるため、物流管理の強化が重要となります。

図3 図3 トヨタ生産方式における物流上の課題(クリックで拡大)

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