三菱電機は、電流や電圧の変動から蓄電池の残量や性能劣化をリアルタイムに診断する技術を開発した。従来の手法よりも容易かつ正確に蓄電池の性能を知ることが可能になり、自動車や鉄道の蓄電システムや発電プラントの蓄電池のメンテナンス性が向上する。正確な電池残量の把握による蓄電システムの制御の効率化も期待できる。
三菱電機は2016年2月17日、東京都内で開催した研究成果披露会において、電流や電圧の変動から蓄電池の残量や性能劣化をリアルタイムに診断する技術を開発したと発表した。従来の手法よりも容易かつ正確に蓄電池の性能を知ることが可能になり、自動車や鉄道の蓄電システムや発電プラントの蓄電池のメンテナンス性が向上する。また、正確な電池残量の把握は蓄電システムの制御を効率化する。太陽光/風力発電の大規模発電プラントや、自動車、鉄道での採用を目指す。
蓄電池は経年劣化によって蓄電容量が減少し内部抵抗が増加する。安定した出力で蓄電システムを稼働するためには、個々の蓄電池の劣化を把握し、必要に応じて交換することが必要になる。
これまで、蓄電池の容量を確認するには蓄電池の残量をゼロにしてからフル充電し、電流を積算する手法がとられていた。この手法は電流センサーの精度への依存が大きく、電流センサーの誤差も積算するため実際の容量と測定値が懸け離れるのが課題だった。蓄電容量の推定には3〜4時間を要し、その間蓄電システムを停止する必要があり、メンテナンス性も低かった。
また、蓄電池の残量は、不正確にしか推定できない容量を基準に算出するため、誤差は5%以上もあり、信頼性が低い。
このように容量や残量の推定が不確実なため、現状の蓄電システムは劣化を前提に予備の蓄電池を搭載して出力に余裕を持たせている。
三菱電機が今回開発した蓄電池の性能診断技術は、使用中の蓄電池の充放電による電流と電圧の変動を基にしたアルゴリズムで容量や残量を算出する。残量を正確に測定できる電圧を指標にする開回路電圧法と、電流を利用した測定法を組み合わせることにより、残量と容量の誤差を少なくする。
これにより、容量はリアルタイムに、残量は1%以下の誤差で把握することが可能になる。電流と電圧のセンサーとアルゴリズムに基づいて計算するためのマイコンとソフトウェアを蓄電システムに組み込むことで性能診断技術を搭載できる。
予備的な搭載を省略した最低限の蓄電池でよいため、蓄電システムのコスト低減や、自動車では車体の軽量化にもつながりそうだ。また、今後発生する使用済み蓄電池の再利用においても、開発技術の活用を見込んでいる。
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