大容量蓄電池は家庭用が先行し、小規模オフィスなどに向けた製品が後を追う。容量は1kWhから最大6kWhまでがそろう。ただし、蓄電以外の周辺機能に幅があり、タイマー動作が必要かどうかなど、機能を見極めなければならない段階だ。
電力不足が長期化する見込みを受け、家庭用の大容量二次電池(蓄電池)を製品化する動きが、電機メーカーを中心に活発化してきた。
ヤマダ電機が取り扱うエジソンパワーのリチウムイオン二次電池は早くも2011年4月から出荷が始まり、1kWh品の「EP-1000」(87万30円)と2.5kWh品の「EP-2500」(189万円)を選択できる。
NECはラミネート型のリチウムイオン二次電池*1)を内蔵した容量6kWhの家庭用蓄電システム「ESS-H-002006A」(図1)を2011年7月に発売、分電盤と接続することで太陽光発電システムなどと連携動作することをうたっている。日中に太陽光発電で蓄電し、夜間に消費することを狙う。価格は250万円前後だ。
*1)同電池は日産自動車のEV「リーフ」に採用されている。
東芝やパナソニック、エリーパワーも家庭用電池の年内投入を急いでいる。
家庭用だけではなく、小規模オフィス単位や商店、公共機関などに向けた蓄電池の製品化も進んでいる。
ソニーは2011年4月に容量1.2kWhのリチウムイオン二次電池モジュール「LIM1001」(約30万円)*2)の出荷を開始した。必要な電力に応じて、ラックに電池を収めて利用する。
*2)約30万円という価格は二次電池モジュールだけの価格であり、この他にAC-DCモジュール(コンバーター)、DC-ACモジュール(インバーター)、充放電などを制御し、温度管理を行うBMS(Battery Management System)が必要である。
小規模オフィス向けには、100Vのコンセントに接続し、100Vの出力を得る、いわば大型UPSのような製品が望まれている。計画停電や大規模停電に即座に自動対応でき、ある程度の時間、機器を運用できなければならない。
東芝やソニービジネスソリューションの製品はこのような使い方を想定している。
東芝が2011年7月に出荷を開始した無瞬断パワーユニット「SBE1P-U100010SC」は、店舗やオフィス向けの製品だ(図2)。容量は1.6kW、価格は約150万円。三菱自動車のEV「i-MiEV」の低価格グレードや、SIM-DriveのEV「SIM-LEI」などに採用されたSCiB電池を搭載する。
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