2011年9月には、ソニービジネスソリューションが、リチウムイオン二次電池を内蔵した業務用蓄電池「ESSP-2000」*3)の出荷を開始する(図3)。2.4kWhと東芝製品と比べて容量が大きく、複数の動作モードやタイマー機能などを備え、保守管理サービスが充実している点が特長だという。価格は約200万円。
*3)ソニーが2011年4月に出荷を開始した二次電池モジュール「LIM1001」を2個内蔵する。
同社は、映像機器やネットワーク機器を主に取り扱っており、2011年5月にエナジー事業推進室を立ち上げ、法人向けの蓄電池事業の形を探ってきた。今回は新規参入後、最初の製品投入に当たる。「まずは小規模な映像編集スタジオや放送局などに向けて国内で年間300台の出荷を見込む。事前にさまざまな顧客に製品を見ていただいたところ、反応が良く、店舗やサテライトオフィス、マンションなどさまざまな用途が開けると考えている」(ソニービジネスソリューション代表取締役社長の花谷慎二氏、図4)。
他社製品と比べて、3点の強みがあるという。まず、長寿命、高出力、急速充電可能なソニーのオリビン型リン酸鉄リチウムイオン蓄電モジュール*4)を採用したことだ。「23℃という条件で、1日1回充放電しても10年以上使用可能である」(ソニービジネスソリューション 営業・マーケティング部門エナジー事業推進室で室長を務める渡邊圭一氏、図5)。
*4)オリビン型は結晶構造を指す用語。LiFePO4(リン酸鉄リチウム)が、かんらん石と同じ安定した結晶構造を取っている。このため満充電時、高温時、長期使用時の電池の劣化が少なく、安全であるという。
「UPSと比べて価格が高い。しかし、10年間の運用を考えると、寿命が2〜3年のUPSであれば何度も機器の入れ替えが必要になる」(渡邊氏)。UPSに使われる鉛蓄電池と比べて充電速度が5〜10倍高速であり、大出力が得られることも差別化要因だという。約2時間で95%まで急速充電できる。
2番目の強みは、小規模ビジネス向けに複数のソリューションを用意したことだという。今回の一体型蓄電池の他に、個別ソリューションも用意した。個別ソリューションでは蓄電モジュール数(1ラック当たり7台)に応じて自在に容量を変えることができ、充電時間や最大負荷、入力電圧なども変更できる。
最後に、業務用として保守サービスを充実させたことを挙げた。3年や5年といった保守メニューに加え、電池寿命に合わせて、8年のメニューを用意した。保守内容はヘルプデスクサービスとオンサイト修理サービスである。
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