このアドベンチャーの実車化を担当したのは、ダイハツ車のアフターパーツを手掛けるD-SPORTだ。同社はアドベンチャーの実車化を3〜4カ月で実現してみせた。
一般的に、デザインスケッチの状態から実車化に持っていくまでには、どれだけ早くても1年間はかかるといわれている。これは、スケッチから3次元CADの設計に落とし込み、さらにコペンのようなベース車両に合うような部品を製造できるようにデータを最適化し、実際に部品を製造するといったプロセスを経る必要があるからだ。
アドベンチャーの実車化では、硬質発泡ウレタンに直接線引きしていくことで、デザインスケッチを製造のためのデザインにそのまま反映していける手法を採用した。この手法は、エアロパーツの開発では利用されていたが「車両レベルで適用した事例はあまりない」(藤下氏)という。
今回、アドベンチャーの実車化で新たな手法を取り入れることで、コペンの最大の特徴であるDRESS-FORMATIONの着せ替えパーツの開発期間を短縮できる可能性も見えてきた。実際にアドベンチャーについては、今回の実車化にとどまらず、2016年内に市販化することも決定している。
2016年のコペンの新展開としては、先述したアドベンチャーの市販化の他、セロをローブに着せ替えるための「DRESSパーツ」の発売を予定している。
2015年の東京オートサロンで発表したサードパーティーとの協力関係も着実に進展しており、TAMONDESIGN(タモンデザイン)のローブ用のDRESSパーツ、新潟県三条市の「LOVE SANJO with COPEN」によるボンネットフードやカーゴトレーラーは2016年春ごろに登場する予定だ。3Dプリンタメーカーのストラタシス・ジャパンと協力している「エフェクトスキン」も、Webを通じて自分好みのデザインの追加パーツを発注できる仕組みを構築中である。
そして東京オートサロン2016の会場では、2017年以降の展開を予感させるコンセプトカーも披露された。オープンカーであるコペンを逆転の発想でフルカウルにした、クーペスタイルの「コペン セロ クーペ コンセプト」と、ワゴンスタイルの「コペン ローブ シューティングブレーク コンセプト」である。
「従来のDRESSパーツよりも商品化に向けたハードルは高い。ただ、こういった新しい提案をどのように受け止めてもらえるかを知りたかった」(藤下氏)ということで、今回はあくまで参考出展の位置付けだ。
会場内での評判は上々で、コペンの次の展開としての期待値はかなり高そうだ。
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