ダイハツ工業の「コペン」は「売れ続ける」ためにさまざまな施策を展開している。その1つが、デザインコンテスト「DRESS-FORMATION Design Award」のグランプリ作品である「コペン アドベンチャー」の実車化だ。実車化にかかった期間は通常1年のところを約3カ月で完了した。果たしてどのようにして実現したのだろうか。
ダイハツ工業が2014年6月に市場投入した2代目「コペン」。“ニッチ”市場向けと言っていい、2人乗りの軽オープンスポーツカーだが、初年度の2014年は7カ月で6754台、2015年は年間で7274台を記録した。発売から19カ月の月平均販売台数は738台である。
コペンのようなニッチ市場向けの車両は、発売初年度だけでなく次年度も売れ続けるかが勝負になる。1年半以上が経過した時点で、当初の目標だった月間販売台数700台を上回っているわけで、このことは健闘していると言っていいだろう。
2代目コペンは「売れ続ける」ためにさまざまな施策を展開してきた。2014年6月の第1弾「ローブ」の発売に続き、2014年11月には異なるデザインの「エクスプレイ」を投入。2015年6月には、ローブとの間で着せ替えが可能な丸目デザインの「セロ」を発売している。半年前後に1回のペースで話題を提供することにより、ユーザーの興味を集められるようにしているのだ。
樹脂外板を着せ替えられる「DRESS-FORMATION」が特徴のコペンは、プロモーションの場としてカスタムカーの展示会である「東京オートサロン」を重視している。発売前の2014年、発売後の2015年もコペンに関する話題を提供してきたが、今回の「東京オートサロン2016」(2016年1月15〜17日)でも、さまざまな仕掛けが用意されていた。
その1つが、コペンの新たなデザインを公募するコンテスト「DRESS-FORMATION Design Award」のグランプリ作品である「コペン アドベンチャー(以下、アドベンチャー)」の実車化である。
アドベンチャーは、エクスプレイからの着せ替えが可能な「タフSUV」をイメージしたクルマだ。ダイハツ工業は、1970年代後半〜1980年代にかけてラリーレースに参戦していた。その「ラリーのダイハツ」のDNAを感じさせるデザインが高く評価されるなどして、グランプリ作品に輝いた。コペンのチーフエンジニアを務めるダイハツ工業 製品企画部の藤下修氏は「若々しくてピュアなデザイン。サバンナに立つ若々しいライオンのようで、自動車メーカーのデザイナーとは異なる発想から生まれており、われわれも大変刺激を受けている」と語る。
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