トレンドマイクロ傘下で自動車向けのサイバーセキュリティを手掛けるVicOneはパートナープログラムを日本で開始する。パートナープログラムを通じて、技術的な協業やソリューションの共創を推進する。
トレンドマイクロ傘下で自動車向けのサイバーセキュリティを手掛けるVicOneは2025年5月14日、パートナープログラムを日本で開始すると発表した。現時点で参加を決めた企業は、SGS、NSW、岡谷鋼機、Covalent、日立ソリューションズ・テクノロジーの5社。パートナープログラムを通じて、技術的な協業やソリューションの共創を推進する。また、パートナーを通じて顧客開拓を強化する。
パートナープログラムに参加する企業は、VicOneのソリューションを使ってサイバーセキュリティ事業を強化できる。自動車メーカーやサプライヤーの開発部門は組織体が大きく、VicOneとしては全ての部署にアプローチできているわけではないのが現状だ。パートナープログラムの参加企業を通じて新たな取引につなげることを目指す。
また、自動車サイバーセキュリティのビジネスが拡大した際に、パートナープログラムの参加企業を通じてインテグレーションも強化したい考えだ。PC向けにはインストールすれば動作するソフトウェアがあるが、自動車サイバーセキュリティでは車載機器に合わせて調整するなど一定のインテグレーションが必要になるためだ。
VicOne 日本地域代表の小田章展氏は「われわれはトレンドマイクロ子会社のベンチャーという域を脱せていない」とし、パートナープログラムの参加企業と協力しながら事業拡大を目指していく。
VicOneとしては、欧州や東南アジア、日本でビジネスが好調だ。日欧は自動車メーカーとサプライヤーがUN-R155への対応を進めている。米国やインドは自動車市場としては活発だが、セキュリティの法規対応は今後の課題だ。
同社のビジネスは、自動車を監視するセキュリティオペレーションセンター、攻撃の検知など車載コンピュータへのセキュリティ実装、SBOMでの脆弱性管理、ペネトレーションテスト、リサーチコンサルティング、教育トレーニングの6つだ。自動車のライフサイクルによっては車載コンピュータへのセキュリティの搭載は検討から実装まで時間がかかるが、ペネトレーションテストやリサーチコンサルティング、教育トレーニングなどのニーズが高く、同社のビジネスは日本で活況だ。
セキュリティコンテストも運営している。クイズ形式でセキュリティの問題を解く「オートモーティブCTF」(経済産業省からの受託)や、実際の自動車のソフトウェアや部品を対象にリアルタイムで脆弱性を探す「Pwn2Own」を通じて、自動車サイバーセキュリティの人材育成や、ITが中心のサイバーセキュリティコミュニティーと自動車業界のコラボレーション促進を図る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.