アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)はオンラインで会見を開き、自動車業界における同社の取り組みについて説明した。
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は2025年5月15日、オンラインで会見を開き、自動車業界における同社の取り組みについて説明した。
CASE(コネクテッド、自動化、シェアリング&サービス、電動化)という言葉に代表されるように100年に一度の変革期を迎えている自動車業界だが、このトレンドの中で大きく変わったことの一つが積極的なクラウド活用だろう。自社の設計や製造のITインフラは言うに及ばず、2000年代に普及が進んだカーナビゲーションシステムと連携する位置情報サービスなどでもオンプレミスの自社サーバで運用するのが一般的だった。
しかし、もはやそのような時代は過去のものとなった。製造業の中でもクラウド活用に積極的に取り組んでいるのは自動車業界と言っても過言ではない。そして、国内自動車メーカーがグローバルに事業を展開する上で、世界各地にインフラを展開するクラウドベンダーであるAWSとの連携も急速に進んでいる。AWSジャパン エンタープライズ技術本部 自動車・製造グループ 本部長の岡本京氏は「2020年にトヨタ自動車、2021年にはホンダとコネクテッドカーにおけるAWSの活用事例を発表させていただいた。また、2023年にはSUBARUとグローバルPLMでの事例も発表している。これらのように、自動車業界におけるさまざまな事業および業務での活用事例が年々公開されている状況にある」と語る。
AWSから見た足元の自動車業界のトレンドとしては、先述のCASEに加えて、持続可能性、消費者向けパーソナライゼーションの3点に注目しているという。持続可能性では、脱炭素に向けたゼロエミッションの取り組みだけでなくサプライチェーンの不確実性への対応なども挙げられる。CASEでは、生成AI(人工知能)や5Gな高度な技術との統合も求められつつある。そして、最終的な自動車ユーザーである消費者向けパーソナライゼーションでは、個別最適化していくことでサービスを含めた自動車の付加価値を高めていくことが重視されるようになっている。
これらのトレンドに対してAWSは「AWS for Automotive」というブランドで自動車業界の革新、近代化、スケールを容易にしていくソリューション群を提供している。現在、「Software defined vehicle」「Connected Mobility & EV」「Digital Customer Engagement」「Autonomous Vehicle Development」「Manufacturing」「Manufacturing」「Product Engineering」「Supply chain」「Sustainability」という8つの領域に分けてソリューションを展開しており、その中心には各業務プロセスをまたがっての連携を可能にするデータレイク/データメッシュが重要な役割を果たすとしている。
自動車業界のAWS採用企業としては、トヨタ自動車や日産自動車、ホンダ、マツダ、SUBARU、ダイハツ工業などの国内自動車メーカーを筆頭に、BMW、フォルクスワーゲン(Volkswagen)、GM(General Motors)、フォード(Ford Motor)などの海外自動車メーカー、デンソーやコンチネンタル(Continental)、パナソニック オートモーティブ、Astemoなどのティア1サプライヤーの名前が並ぶ。これらの製造プロセスにおける上流企業だけでなく、半導体メーカーや車載ソフトウェア、ツールベンダーなどにもAWSは採用されており「自動車業界の中でAWSを活用するエンジニアが多く、ノウハウが蓄積されていることも、顧客に価値を感じてもらえている一因になる」(岡本氏)という。
岡本氏は自動車業界でAWSが採用される理由として「包括的な自動車専用サービスとソリューションのセット」「豊富な業界経験と専門知識」「広範なパートナーネットワーク」の3つを挙げた。そして、これら3つを支える重要な要素として強調したのが「Amazonのイノベーション文化」である。
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