米国「MOBI/CESMII」と中国「可信数据空間」、米中両国のデータ共有圏の現状は加速するデータ共有圏と日本へのインパクト(7)(1/6 ページ)

欧州を中心にデータ共有圏の動向や日本へのインパクトについて解説する本連載。第7回は、米国の「MOBI/CESMII」と中国の「可信数据空間」など、米中両国の取り組みを紹介する。

» 2025年05月20日 10時00分 公開

連載概要と本記事の位置付け

 本連載では、「加速するデータ共有圏/データスペースの最新動向と日本の産業へのインパクト」をテーマとして、データ共有圏/データスペースの動向やインパクト、IDSA(International Data Space Association)、GAIA-X、Catena-X、Manufacturing-Xなどの鍵となる取り組みを解説していく。連載第7回となる今回は、米国と中国の取り組みを紹介する。

データ共有圏(データスペース)とは

 データ共有圏はデータスペース(Data Space)とも呼ばれている。データの共有/交換は、従来はプラットフォームを介したデータ共有が一般的であり、提供されたデータの活用やマネタイズについてはプラットフォーム側が実施し、データ所有者は関与できないものだった。

 一方で、現在欧州発で検討が進むデータ共有圏=データスペースについては、データの出し手と受け手をコネクターで直接つなぐ分散型の共有となる。コネクターを活用し、データ所有者と利用者が直接データ共有を実施する。データ主権が担保され、データ所有者が「他者がデータをどのように、いつ、いくらで利用できるかを自己決定することができる」のが特徴だ(図1)。

図1 図1 欧州が展開しているデータ共有圏[クリックで拡大] 出所:筆者作成

データ共有圏を展開する組織と米国/中国の取り組みの位置付け

 データ共有圏では多くの組織が動いている。本連載の中でそれぞれの組織の動向は詳述するが、ここでは大きくその位置付けを示したい。まず、主要な組織としては大きく2つに分かれる。業界共通での仕組み作りを担うのがIDSA(International Data Space Association)とGAIA-Xだ。

 その土台の上に、自動車業界ではCatena-X、製造業全般においてはManufacturing-Xなど業界ごとの仕組みづくりを担う組織の活動が位置付けられる。後述するCofinity-Xは位置付けが他と異なり、Catena-Xの仕組みの上で個別のソリューションを展開するサービス企業となる(図2)。

図2 図2 データ共有圏を展開する欧州主要組織の位置付け[クリックで拡大] 出所:筆者作成

 本記事においては、欧州でデータ連携を進める組織とも関連して動く、米国/中国の取り組みについて紹介したい。米国/中国においては、それぞれでデータ連携を行う仕組みの開発や展開が進むとともに、欧州のデータ共有圏の取り組みとの相互接続/連携が進んでいる構造だ(図3)。

図3 図3 データ共有圏のグローバル連携の状況[クリックで拡大] 出所:筆者作成
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