排気量3.7lのV型6気筒エンジンをダウンサイズしたのは、SKYACTIV化すると販売台数に見合わず設備投資が増えるためだ。もし直列の排気量3.7lエンジンがあれば「過給ダウンサイジングではなくSKYACTIVにした」(同氏)という。
人見氏は、過給ダウンサイジングを選んだ理由として「ダイナミック・プレッシャー・ターボやクールドEGR、直列化による機械抵抗の低減という3つの条件がクリアできたからだ。最も合理的なコストで、実用域の走りを向上しながら燃費も大幅に改善できた」と主張する。
同氏は「過給ダウンサイジングを食わず嫌いしていたわけではない」と過去の取り組みを振り返る。
1980年代にターボエンジンがブームになった頃、「ターボエンジンの圧縮比は7〜8で実用燃費はかなり悪かった。どうにか圧縮比を上げられないかと考え、高圧縮比スーパーチャージャーの開発に取り組んだ」(同氏)という。当時、マツダが市場に出したターボエンジンは圧縮比が7.9で、自然吸気でも出せる程度のトルクしか出せなかった。
高圧縮比スーパーチャージャーは、掃気効果でトルクを上げることが可能になった。残留ガスを半減させると圧縮比を2以上高める効果がある。前述のターボエンジンに高圧縮比スーパーチャージャーを組み合わせると、排ガスの温度と過給圧が低いままで、高圧縮比で高いトルクを出せた。また、当時はV型6気筒の排気量3lエンジンを同1.5lにダウンサイジングする試みも検討していた。排気量を半減した結果、燃費は当時の測定基準で21%しか向上しなかった。新開発の排気量2.5lターボエンジンに搭載したクールドEGRも「アイデア自体は数十年前に考案していた」(同氏)ものだ。
人見氏は、「これまでに過給ダウンサイジングに取り組んできた経験があるからこそ、“意味のない”過給ダウンサイジングに対して疑問を示していたのであり、“意味ある”過給ダウンサイジングの条件がそろったからこそ排気量2.5lのSKYACTIVターボエンジンを新開発したのだ」と述べている。
 「SKYACTIV-G」初のダウンサイジングターボ、排気量2.5lで新型「CX-9」に搭載
「SKYACTIV-G」初のダウンサイジングターボ、排気量2.5lで新型「CX-9」に搭載 SKYACTIVエンジンは“理想の燃焼”に向けた第1ステップ
SKYACTIVエンジンは“理想の燃焼”に向けた第1ステップ ダウンサイジング過給の需要増が追い風、三菱重工がターボを年産1000万台体制へ
ダウンサイジング過給の需要増が追い風、三菱重工がターボを年産1000万台体制へ 「SKYACTIVエンジン」は電気自動車と同等のCO2排出量を目指す
「SKYACTIVエンジン」は電気自動車と同等のCO2排出量を目指す 新型「クラウン」はハイブリッドでダウンサイジング、JC08モード燃費は23.2km/l
新型「クラウン」はハイブリッドでダウンサイジング、JC08モード燃費は23.2km/lCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
モビリティの記事ランキング
コーナーリンク