日立製作所は、琵琶湖の排水機場向けに、カメラ付きヘッドマウントディスプレイとAR技術を用いたクラウド型機器保守・設備管理サービス「Doctor Cloud/巡回・点検支援システム」を受注した。
日立製作所は2015年10月2日、水資源機構琵琶湖開発総合管理所から、クラウド型機器保守・設備管理サービス「Doctor Cloud (ドクタークラウド)/巡回・点検支援システム」を受注したと発表した。カメラ付きヘッドマウントディスプレイとAR(拡張現実)技術を用いて大雨の際の排水機場の運転操作や不具合対応を支援するもので、2016年3月に納入予定だという。
琵琶湖開発総合管理所は、琵琶湖一円にある14カ所の排水機場を管理。大雨で琵琶湖の水位が上昇した時には、内陸側の氾濫を防ぐため、水門閉塞と同時に排水機場のポンプを稼働し、河川水を強制的に琵琶湖に送水する。緊急時は操作マニュアルで排水機場を操作するため、急激な増水時には、さらに確実・安全・迅速な作業が求められるという。
今回日立が受注したDoctor Cloud/巡回・点検支援システムは、大同川排水機場(滋賀県東近江市)と米原排水機場(同・米原市)で使用される。ポンプ起動にあたっての各種運転操作手順・方法をAR技術を用いて携帯端末上で作業ナビゲーションするため、経験の浅い職員でも確実な運転操作ができる。
また、迅速な大雨対策が可能となり、ヒューマンエラーの抑制と現場作業の効率・安全性を向上できる。作業手順・方法が変更になった場合でも、作業ナビゲーション内容を編集できる機能が付加された。
さらに、排水機場内の機器類に不具合が発生した際には、現場作業者が装着する目線カメラ付きヘッドマウントディスプレイと接写可能な点検カメラ、複数拠点同時通信機能を活用すれば、専門の職員が遠隔地から複数の現場操作者へ指示できる。
同社では、今回の受注を契機に、同システムを国内外の工場・プラントや水処理・交通施設などの社会インフラ事業者、建設会社向けに積極的に拡販していくという。
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