大空に羽ばたけ――「鳥人間コンテスト」開催メカ設計 イベントレポート(15)(1/2 ページ)

人力飛行機で飛行距離や飛行時間を競う競技会「第33回鳥人間コンテスト選手権大会」が開催された。その概要と競技結果をお伝えする

» 2010年09月29日 00時00分 公開
[永山昌克,@IT MONOist]

 自作の人力飛行機によって飛行距離や飛行時間を競う大会「第33回鳥人間コンテスト選手権大会」が2010年7月24、25日の両日、滋賀県彦根市の琵琶湖東岸で行われ、その模様が先日テレビで放送された。

 1977年からスタートした歴史のある大会で、ファンや地元の人にとっては夏の風物詩とも呼べるイベント。昨年は予算削減を理由に開催が休止されたが、再開を望む声が多数寄せられ、今年は2年ぶりに開催された。

画像1 琵琶湖の夏の風物詩「鳥人間コンテスト」。琵琶湖の東岸にある彦根松原海水場に設置された高さ10メートルのプラットフォームから大空へ飛び出す(写真は工学院大学 B.P.Wendy)

 大会に参加できる飛行機は、風の力のみで飛行するグライダー型の滑空機と、パイロットがペダルを漕いでプロペラを回転させる人力プロペラ機の2種類。競技としては「滑空機部門」「人力プロペラ機タイムトライアル部門」「人力プロペラ機ディスタンス部門」の3つに分かれている。ここでは、各部門の概要と競技結果を順にお伝えしよう。

風力のみで飛行するグライダー型の「滑空機部門」

 まずは滑空機部門を振り返ってみよう。グライダー型の機体にパイロットが乗り込み、湖上10メートルの高さに設けられたプラットフォームから助走を付けてテイクオフ。そして、風力のみで滑空し、その飛行距離によって順位を決める競技である。大気の流れを妨げないように、機体の精度を極限まで高めることや、その瞬間の風向や風速を把握し、バランスを取ながら確実にテイクオフする、といったことが勝敗を左右するポイントになる。

画像2 滑空機部門の機体は風力のみで飛行するグライダー型(写真は上智大学 SFT)

 今年の滑空機部門の参加チーム数は21チーム(うち棄権1)。過去7回の優勝を果たし、483.47メートルという大会最長記録を保持する「みたか+もばらアドベンチャーグループ」(東京都)が近年は圧倒的な強さを誇るが、その記録にほかのチームがどこまで迫り、超えられるかが今回の見どころだった。

 結果は、「みたか+もばらアドベンチャーグループ」が歴代2位の好記録となる421.11メートルをたたき出し、第29回大会から続く5連覇を達成した。また、惜しくも準優勝となった「九州大学鳥人間チーム」(福岡県)は、主桁(しゅげた)が機体の中央ではなく、コックピットの側面を通っている「左右非対称機」で挑み、学生チーム最長距離を更新する371.80メートルを記録した。

画像3 左右非対称機で挑んだ「九州大学鳥人間チーム」(福岡県)

 そのほかには、出場最年長のベテランパイロットが率いる「チームハマハマ」(静岡県)が翼が上下に可動するユニークな「はばたき飛行」によって注目を集めた。また、前回大会では初挑戦ながら300メートルを超える好成績を出して話題となった「情報ライブミヤネ屋」のキャスター・宮根 誠司さんの「チームミヤネ屋」(大阪府)は、前回には及ばない272.66メートルだった。

画像3 左右非対称機で挑んだ「九州大学鳥人間チーム」(福岡県)画像4 翼が上下に可動するユニークな「はばたき飛行」によって注目を集めた「チームハマハマ」(静岡県)
画像5 「情報ライブミヤネ屋」のキャスター・宮根 誠司さんの「チームミヤネ屋」(大阪府)

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