「どうせ無理」をやめよう――ロケット開発する町工場・植松電機SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2014から(2/2 ページ)

» 2014年12月10日 10時00分 公開
[加藤まどみ,MONOist]
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 日本では有人宇宙探査に取り組んでいないが、中国ではいつの間にか研究が進んでいる。これはロシアの技術を利用したものだという。だがどんな形にしろ日本が後れを取っているのは事実だ。

 なぜこういう状況になるのだろうか。「(日本に)頑張れない人、同じことしかできない人が増えているから」だと植松氏は指摘する。「できることだけやっていると進化できない。だから新しいことに挑戦しないといけない。誰だって子どものころはあきらめることを知らない。それが挑戦しなくなるのは、誰かがあきらめることを教えているから」(植松氏)。植松氏が以前勤めていた会社では「やったことがないからできない」という言葉をよく聞いたそうだ。また新しい課題が示されたとき「無理だって言ったら楽ができるよ」とも言われたという。「だが楽をすると無能になる。人の価値は生涯賃金でなく、得た経験で決まる」と植松氏は言う。

「どうせ無理」は最大の言い訳

 同氏が祖母から学んだのが「お金は知恵と経験に使えばなくならず、たまり続ける」という言葉だそうだ。そうして身に付けた経験の1つは、植松氏が子どもの頃に出会った二宮康明の紙飛行機の本だった。子ども向けにしては、内容は非常に高度なものだったという。ふりがなが振ってあり、なんとか読むことができたが、難しい式も出ていた。電卓で計算したりしながら、その内容を全て覚えたという。紙飛行機の本に乗っていた原理は飛行機やロケットと原理は同じだ。この本の経験は現在も非常に役に立っているという。

 植松氏は、モノづくりに打ち込んだ子ども時代、将来の夢を学校で書くことがあった。(可能だと思って)「潜水艦を作りたい」と書いたら、「夢みたいなことを書くんじゃない」と言われてしまったそうだ。植松氏は「みんなは仕事を書いていた。夢って仕事のことなの? 今できないことを追いかけるのが夢なんじゃないの?」と疑問に思ったという。

 「失敗をマイナスと思う大人が教師をしていた。そんな風に人の夢を奪わないでほしい。人は手回し式計算機と計算尺で宇宙に行った。『自分なんてどうせ無理』と言う代わりに、『だったらこうしてみたら?』と言ってみてほしい。そしてうまくいかなかった時は逃げていい」と植松氏は話した。

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