三井化学とアークは共同開発した3Dプリンティング部品と、三井化学が開発した一方向性炭素繊維強化ポリプロピレン樹脂シートが、タイ25時間耐久レースで走行するペースカー「TOYOTA Hyper-F CONCEPT」に採用されたことを発表した。
三井化学と同社子会社のアークは2024年12月19日、両社で共同開発した3Dプリンティング部品と、三井化学が開発した一方向性炭素繊維強化ポリプロピレン(PP)樹脂シート「TAFNEX CF/PP」が、トヨタ自動車の「FORTUNER(フォーチュナー)」をベースとしたペースカー「TOYOTA Hyper-F CONCEPT」(以下、Hyper-F CONCEPT)に採用されたことを発表した。
Hyper-F CONCEPTは、トヨタグループ傘下のトヨタカスタマイジング&ディベロップメントの子会社で、タイ・バンコクに拠点を構えるTCD ASIA(以下、TCD-A)が企画したコンセプトカーで、2024年12月21〜22日に開催される「IDEMITSU SUPER ENDURANCE 25HRS」(タイ25時間耐久レース)でペースカーとして実際に走行する。
フードエアダクト、フロントバンパーの一部の加飾部品および空力部品であるアンダーパネルにTAFNEX CF/PPが、フードエアダクトのベゼル部品とリアオーバーフェンダーに3Dプリンティング部品が採用されている。
TAFNEX CF/PPは、三井化学の独自技術によって、炭素繊維とPPを複合化した一方向性テープ(UDテープ)だ。軽量かつ高剛性で成形性に優れており、大理石調デザインなど意匠を柔軟に変更できる。射出成形品やプレス加工品の部品補強を目的とした利用の他、自動車、ドローン、産業/民生機器などの各種用途向けに展開を進めている。
今回採用された3Dプリンティング部品は、(1)ドリームスデザインの車両部品の設計技術、(2)ExtraBoldのダイレクトペレット式大型3Dプリンタ「EXF-12」、(3)アークの3Dプリンタによる造形/後加工技術、(4)三井化学の3Dプリンティング向けポリオレフィン系コンポジットの技術を総動員して実現したという。なお、三井化学は2020年にドリームスデザイン、2023年にExtraBoldに対して出資を行い、業務提携を開始している。
ExtraBoldのEXF-12は、射出成形と同じ樹脂ペレットを材料に用いることができ、従来の3Dプリンタよりも樹脂の吐出量を安定的に増やせ、大型の造形物を高速で造形することが可能だ。EXF-12の活用により、開発期間の短縮や金型コストなどの削減が図れる。また、造形物を粉砕してリペレット化することが可能なため、サーキュラーエコノミーにも貢献できるとする。
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