JSRは、「SEMICON Japan 2014」内の特別展「World of IoT」において、慶應義塾大学准教授の田中浩也氏と共同で開発している、熱可塑性エラストマーを材料に用いた3Dプリンティング技術の開発成果を披露した。
JSRは、「SEMICON Japan 2014」(2014年12月3〜5日、東京ビッグサイト)内の特別展「World of IoT」において、慶應義塾大学准教授の田中浩也氏と共同で開発している、熱可塑性エラストマーを材料に用いた3Dプリンティング技術の開発成果を披露した。
市場が急速に広がっている熱溶解積層法(FDM法)を用いた3Dプリンタの材料は、ABSやPLAといった樹脂が中心で、出力物は基本的に固い。田中氏は、3Dプリンタの利用が広がっていけば、人の身体に直接触れるようなものの製造にも適用されるようになり、そういう場合には出力物は柔らかくて曲げられる必要があると想定している。
田中氏の考えに賛同したのが、熱可塑性エラストマー大手のJSRである。同社は、子会社のD-MECの光造形方式3Dプリンタ向けに光硬化性樹脂を開発するなど、3Dプリンタ関連の知見やノウハウを有している。そこで、FDM法の3Dプリンタの材料に、熱可塑性エラストマーを使えるようにするための技術開発を田中氏と共同で進めているという。
JSRによれば、「医療用カテーテルなどにも使われている、高品質で人体にも安全な熱可塑性エラストマーを使った3Dプリンティング技術の開発事例はあまりない」という。実用化時期は明らかにしなかったが、「現在、3Dプリンタについては、装置と材料の双方で日本のメーカーの存在感はほとんどない。今回の共同開発を進めて、熱可塑性エラストマーを使ったFDM法の3Dプリンティングの分野で世界をけん引できる存在になりたい」(JSR)としている。
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