IMEC Technology Forumにおいて、ヘルスケア製品を手掛ける大手企業ジョンソン・エンド・ジョンソンのCSO(Chief Science Officer)であるPaul Stoffels氏は、「体の外側と内側では、だいぶ話が違ってくる」とEE Timesに対して語っている。「まずはFDA(米国食品医薬品局)や他の規制当局による認可作業から始まる。その後臨床試験を繰り返し、技術の妥当性を示す。これは5〜15年にわたる長期の投資となる」(同氏)。
Stoffels氏は、「われわれの業界では、3〜50億米ドルを投資して新製品を開発しても、発売1週間前にそれが中止になる場合もあり得る。例えば当社は、臨床試験に毎年20億米ドルを投資している」と語った。
Doherty氏は、「何年か前に、いくつかのバイオメディカルセンサーシステムについて特許を取得した。FDAや他国の認証機関とのやりとりは、エンジニアのトレーニングなどとはまったく異なるものだった」と述べている。
認証機関とのやりとりは、小さな新興企業からSamsungのような巨大企業まで、医療市場に本格的に参入を目指す全ての企業にとって、越えなくてはならないハードルになる。「フィリップスやGE、シーメンスなどは、認証機関とのやりとりだけのために、大勢の専門家を雇用している」(Doherty氏)。
Jones氏は、ヘルスケア/医療分野で革新を起こそうとしている企業は、ユニークな武器を持っていると注目する。新興企業のScanaduは、クラウドファンディングの「Indegogo」でデバイスを事前販売した際、「購入者は臨床試験への協力に同意すること」という条件を付けた。Scanaduが集めた134万米ドルの資金は、Indegogoでは過去最高となった。
もう1つの課題がプライバシーだ。「信頼を一度損なうと、容易には取り戻せない」とDoherty氏は述べる。
問題は、新しい機器とサービスが無線ネットワーク上に構築されるという点だ。「無線を使うということは干渉があるということだ。さらに、クリニックや病院では、RF信号について厳しい規制がある」(Doherty氏)。
Sohn氏は、Samsungのヘルスケアサービスを銀行に例えている。個人の医療データを安全に保管し、いつでもどこでもデータを引き出して、見せたい相手に見せられる、ということだ。
Sohn氏は、Samsungや他のデジタル医療市場への参入メーカーは、同市場に革新を巻き起こすと繰り返した。
【翻訳:青山麻由子、田中留美、編集:MONOist/EE Times Japan】
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