もともとV-Sidoは、PC用ソフトウェア「V-Sido OS」として提供されていたものだ。これを1枚の基板に実装し、このほど発表したのが「V-Sido CONNECT」である。現在、まだ試作品を使ったテスト段階であるものの、2014年半ばの量産・発売を予定しているという。価格は1万円以下になる見込みだ。
CPUは32ビットのARMコア搭載品を採用しており、サーボモーターやセンサーなどを接続できる。インタフェースは、RS-485、RS-232C、I2Cといった標準規格に対応し、市販の通信モジュールやセンサー基板などを利用することが可能だ。サーボモーターは、ROBOTISや双葉電子工業のRS-485/TTL方式の製品が対応している。
項目 | 仕様 | |
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CPU | 32bit ARM(STM32F1) | |
インタフェース | サーボ用ポート | RS-485×1 TTL RS-232C×1 |
通信用ポート | TTL RS-232C×1(SBDBTによるBluetooth化が可能) | |
センサー用ポート | I2C×2(ジャイロ・発話ICなど用) 汎用I/O×4(デジタルI/OまたはA/Dコンバータ) |
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電源電圧 | DC 3.3VまたはDC5〜12V | |
基板サイズ | 36×33mm | |
表1 「V-Sido CONNECT」の主な仕様 |
CGの表示機能など、不要な部分は一部省略しているが、基本的な機能としては、V-Sido OSとほぼ同等のものを備えている。ロボットを動かす部分については、V-Sido CONNECTが面倒を見てくれるので、ユーザーはアプリケーション部分を、PC、スマートフォン、Arduinoなどを使って用意すればいい。Arduinoのような小型基板なら機体に搭載して、完全自律のロボットを作ることも可能だろう。
一般的に、1枚のCPUボードで、アプリケーションから運動制御まで全てをやらせると、アプリケーション側の負荷が大きくなった際に、スムーズな歩行に支障が出る恐れがある。しかし、V-Sido CONNECTでは処理を分けているため、そうした問題は起きない。人間で言うならば、大脳と小脳の関係に似ているかもしれない。実際、この「CONNECT」という名称には、「大脳的なもの(CPU)と、筋肉的なもの(サーボ)との間をつなげる」(吉崎氏)という意味が込められているそうだ。
では、このV-Sido CONNECTを「どこで使うか」であるが、当然、ビジネスでの利用はアリだろう。だが、特に筆者は、個人での利用に期待したい。現在、「Maker Faire」のようなイベントが活況を呈するなど、“個人でのモノ作り”が非常に盛り上がっている。これまでロボットに手を出していなかったメイカーたちがV-Sidoと出会ったとき、どんなユニークなものが実現するのか、非常に興味がある。
一方、これまでロボットバトル大会「ROBO-ONE」を盛り上げてきたロボットビルダーにとっても魅力的な存在といえるだろう。パンチを食らってよろめいても姿勢を立て直し、簡単に倒れないロボットなどができたら面白そうだ。V-Sido CONNECTは現在、試用ユーザーを募集しているところなので、気になったらまずはWebサイトから問い合わせてみてはいかがだろうか。
大塚 実(おおつか みのる)
PC・ロボット・宇宙開発などを得意分野とするテクニカルライター。電力会社系システムエンジニアの後、編集者を経てフリーに。最近の主な仕事は「日の丸ロケット進化論」(マイナビ)、「3Dプリンタ デスクトップが工房になる」(インプレスジャパン)、「人工衛星の“なぜ”を科学する」(アーク出版)、「小惑星探査機「はやぶさ」の超技術」(講談社ブルーバックス)など。宇宙作家クラブに所属。
Twitterアカウントは@ots_min
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