日本テレビ系列で2013年12月13日に放送された『ロボット日本一決定戦!リアルロボットバトル』の収録現場に密着。勝つか負けるかの真剣勝負に挑む、個性あふれる等身大リアルロボットたちの熱き戦いを“舞台裏”からリポートする。
2013年12月13日に日本テレビ系列で放送された『ロボット日本一決定戦!リアルロボットバトル』(以下、リアルロボットバトル)。等身大の“リアルロボット”同士が戦うという、おそらく世界初のこの番組をご覧になった方も多いことだろう。結果は、坂本元氏が率いるはじめ研究所チームの「HJM-47」が優勝して幕を閉じた(公式サイトはこちら)。
リアルロボットバトルは、日本テレビの開局60周年記念番組として制作されたもの。見どころは、何と言っても大きなロボットが戦うその「迫力」だろう。「ロボカップ」(ロボットサッカー大会)でも何でも、普通は大きなロボットを競技に使う場合、バランスを失っても倒れないように上から吊したり、スタッフが寄り添ったりしていつでも支えられるようにサポートしている。それは、この手のサイズのロボットが転ぶと、確実に「壊れる」からだ。
ところがこのリアルロボットバトルでは、そんな等身大ロボットで殴り合いのバトルを行うというから驚きだ。当然、転倒防止の支えなど一切ない。これまでの常識から考えると、かなり“ムチャな企画”である。だが逆に、実際にやってみたらどうなるのだろう……と非常に興味をそそられたのも事実だ。
筆者は今回、日本テレビの許可を得て、番組の“裏側”を取材することができた。文字通りの“裏側”にいたため、表側で行われた試合の動画や写真は全く撮影していないのだが、放送を見ていなかった人もいるかもしれないので、試合結果も振り返りつつ、各ロボットについて見ていくことにしたい。
リアルロボットバトルのルールは非常にシンプルだ。
まずロボットの大きさであるが、身長は150〜200cm、重量は330kg未満に制限されている。一応、“等身大ロボット”ということで身長の範囲が決められたようだが、ほとんどのチームは上限いっぱいで作ってきており、これはもう事実上“巨大ロボット”と言ってもいいだろう。
出場ロボットの姿を見ると一瞬「2足歩行ロボットか?」と思ってしまうが、ルール上そのような決まりは特になく、実際、足裏にメカナムホイールやオムニホイールを搭載して、全方向への移動が可能になっているロボットが多かった。本当だったら巨大ロボットの2足歩行が見たいところだが、難易度の高さを考えると、これはやむを得ないところだろう。またヒューマノイド型とも限定されておらず、中には4足のロボットもあった。
試合は8×8mのフィールドで行われ、3分×2ラウンドの間に相手の「コア」をたくさん壊した方が勝ちとなる。コアは、ロボットのボディや頭部など10カ所に取り付けられた判定用センサーで、衝撃を受けると壊れる仕組みになっている。ルール上、ロボットが動けなくなるとTKO負けになるため、パンチなどで相手ロボットにダメージを与える戦略もアリだが、基本的には自分のコアを守りつつ、相手のコアを狙う戦いになる。
そして、テレビらしい演出といえるのだが、1ラウンドに1回、30秒間だけ「必殺技」の使用が認められる「ブーストタイム」の発動が可能だ。この時間に限り、通常は禁止されている遠距離攻撃(飛び道具やリーチを伸ばす装備など)が使えるようになるというもので、両チームで同時に発動させることも可能だ。
出場ロボットは以下の8体。この8体によるトーナメント戦で優勝が争われた。
No | ロボット名 | チーム名 | 身長 | 重量 |
---|---|---|---|---|
1 | HJM-47(はじめ47) | はじめ研究所 | 2.0m | 280kg |
2 | 柊(ひいらぎ) | THKロボットサークル | 1.95m | 200kg |
3 | 狐火(きつねび) | 東京工業大学・ロボット技術研究会 | 1.8m | 160kg |
4 | マルミエーターUNCHI48(センター) | 世界まる見え!テレビ特捜部 | 2.0m | 300kg |
5 | キングカイザーZ | マルファミリー | 2.1m | 250kg |
6 | 鉄人10号 | 愛知工業大学・鉄人プロジェクト | 2.0m | 200kg |
7 | ReASS(リアス) | 沼津工業高等専門学校・青木研究室 | 2.0m | 207kg |
8 | GANTON-52 | 日本大学理工学部・精密機械工学科 | 2.0m | 330kg |
出場ロボット(全8体)の概要 |
ここで、これだけは強調しておきたいのだが、このバトルトーナメントは完全に「ガチ」であるということだ。ロボットの製作資金は番組側が提供しており、ロボットの仕様についてはある程度番組側の意向が反映されているのかもしれないが、ゴングが鳴ってからの戦いは真剣勝負そのもの。いわゆる“やらせ”のようなものは一切なかったということは、1日中取材していた筆者が保証しよう。
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