世界最大級のロボット展示会「2013国際ロボット展(International Robot Exhibition 2013)」をリポート。サービスロボットゾーンでは、人が装着するパワードスーツやヒューマノイドロボットだけでなく、完全にあのロボットアニメを意識して作った飛行も可能な2足歩行ロボットなど、非常にユニークなロボットの数々に出会うことができた。
「2013国際ロボット展(International Robot Exhibition 2013)」が2013年11月6〜9日、東京ビッグサイトにて開催された。国際ロボット展は2年に一度開催される世界最大級のロボット展示会で、今回で20回目。334社・団体(前回は272)が参加しており、過去最大規模での開催となった。
国際ロボット展の会場は、大きく「産業用ロボットゾーン」と「サービスロボットゾーン」に分けられているのだが、今年は主にサービスロボット関連の展示にフォーカスしてお届けしたい。
東京理科大学・小林研究室の「マッスルスーツ」は、こういったイベントではもはや“常連”ともいえるものだが、今回は介護、物流の企業2社と協力し、より「実用」を意識したデモを行っていた。
マッスルスーツは圧縮空気で動作する人工筋肉を使用した着用型ロボットである。この人工筋肉はゴムとPET繊維で構成されており、モーターを使ったタイプに比べると、軽量にできるというメリットがある。腕と腰を補助するモデルと、腰のみを補助するモデルがあり、最新バージョンではタッチセンサー、加速度、呼気、音声などさまざまな方法で操作できるようになっている。
介護分野では、アサヒサンクリーンと協力、実証実験を行っているという。同社のスタッフによれば、訪問介護では無理な姿勢のままお客さんを持ち上げる場合も多く、仕事を続けたくても腰を痛めて辞めざるを得ない人が多いとか。マッスルスーツで腰の負担を大幅に軽減できるので、現場からの期待はかなり高いようだ。
なお、このタイプのマッスルスーツでは、圧縮空気の供給に小型のボンベを搭載している。これ1本で持ち上げられる回数は20回程度に制限されるものの、訪問介護は1日5件くらいなので、十分余裕があるとのことだ。
一方、物流分野では、ユーピーアールと協力している。開発した物流用マッスルスーツでは、圧縮空気は外部のコンプレッサーから供給。人工筋肉を動かすと同時に、マッスルスーツの装着部から空気が流れ出るようになっており、作業者の快適性も向上している。
もう1つ、着用型ロボットで面白かったのがパワードスーツ「POWDER」。こちらはなんと個人が開発しているもので、既に右半身が完成。ブースのデモでは、10kgの荷物を軽々と振り回していた。だが、ここで開発資金を使い切ってしまったとのことで、残りの左半身も製作するため、現在スポンサーを募集中だ。
肩、肘、腰、膝に電動モーターを搭載しており(全てピッチ軸)、装着者の力を増幅する。設計上は、腕を伸ばしたままでも最大60kgの荷物を持ち上げることができるという。上腕、前腕、大腿、下腿に力センサーが設置されており、装着者の動きに応じてモーターを動かすという、非常にシンプルな制御を用いているのが特徴だ。
チーム代表の妻木俊道氏は、20代だったころに映画『エイリアン2』を見て、パワードスーツの開発を決意。しかし、会社で開発を提案してきたが許可が出なかったため、ついに2012年から、個人プロジェクトとして開発を始めたという。用途としては、「災害救助などに使ってもらえるようにしたい」(妻木氏)とのことだ。
姫路ソフトワークスは、飛行も可能な2足歩行ロボット「HVF-04X」の試作機を出展。どこかで見たことがあるような形状や型番は恐らく気のせいだが、なんと3つの形態に変形することまで可能だという。重量は約2kgで、サーボーモーターは18個搭載。2014年1〜3月の発売を予定しており、価格は30万円以下になる見込み。
変形できるのは、飛行機形態、2足歩行ロボット形態と、その中間形態の3種類。ここでは仮に、それぞれFモード、Bモード、Gモードと呼ぶことにしよう。FモードとGモードでは、ダクテッドファンによる飛行が可能で、Bモードではちゃんと歩くこともできる。各モードへの変形は、コントローラーからボタン1つで行うことができる。
面白いのは、機体の底面の3カ所にPSDセンサーが搭載されていること。これにより、地面までの距離や機体の傾きが分かるようになるので、墜落しないように、高度や姿勢を自動で調整する。これは、Gモードで地面スレスレを飛びたいという開発者のこだわりから実装された機能であるとか。
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