次に、代表的な「PLCopen Safety FB」である「SF_EmergencyStop」を例に、個別のSafety FBについて紹介します。
「PLCopen Safety FB」では、適用されている安全規格がSafety FBごとに定義されています(表2)。これにより、装置に必要な安全規格の判断ができるようになっています。
インタフェース仕様については、共通的に図1のように接続すべきデータ型が定義され、どれがセーフティ関連信号か分かるようになっています。また、状態遷移図やタイミングチャートにより厳密に動作仕様を定義することにより、ベンダーごとに異なる動作になることを防いでいます。
このSF_EmergencyStopを使用したプログラム例について、実際のセーフティコントローラをベースに説明します。ここではオムロンの「セーフティコントロールユニットNXシリーズ」と「マシンオートメーションソフトウェア Sysmac Studio」の場合について紹介します。
図2のように、NXシリーズではセーフティデータ型の変数を黄色帯表示することで視認性をさらに高めています。これにより、装置の安全規格審査を受ける際に、効率よくセーフティ関連部を絞り込むことが可能です。
今回は「PLCopen Safety FB」について、制定の背景と効果を中心に説明しました。
「PLCopen Safety FB」の狙いは、プログラムの再利用性の向上とトレーニングコストの低減というIEC 61131-3に共通する効果を提供しつつ、装置の安全規格認証コストを低減することです。大規模なセーフティプログラムを構築する際のメリットだけでなく、これまでセーフティリレーで組まれていたハードウェア回路をソフトウェアに移行させるための工夫も盛り込まれていることが理解いただけたと思います。
また、2013年末には、PLCopenにて仕様が改良されたFBやプレス装置向けFBが追加制定され、今後ますます充実していくと見られます。グローバルレベルでの安全確保の必要性が求められる中、今回の記事が装置の安全対策の一助になれば幸いです。
次回はIEC 61131-3の最新技術動向とJIS B 3503についてお伝えする予定です。
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