PLCopenの「Motion Control FB」とはPLCの国際標準プログラミング入門(4)(1/2 ページ)

「IEC 61131-3」と「PLCopen」について解説する本連載。今回はPLCopenの「Motion Control FB」の概要を紹介します。

» 2014年02月20日 10時30分 公開
[島村 純児/オムロン,MONOist]
plc

 「IEC 61131-3」と「PLCopen」について解説する本連載ですが、4回目となる今回はPLCopenの「Motion Control FB(ファンクションブロック)」の概要について紹介します。

 Motion Control FBの利便性や活用方法を理解しやすいように具体的な事例を挙げながら紹介します。そのため、Motion Control FBをサポートしたオムロン製Sysmacマシンオートメーションコントローラ NJシリーズを事例として使います。IEC 61131-3およびPLCopenの詳細については、本連載第1回の「IEC 61131-3とPLCopenの目的とは」で紹介していますので、参考にしていただければと思います。



Motion Control FBとは

 PLC(Programmable Logic Controller)のモーション制御プログラムでは、ハードウェアに依存した記述を行っていました。例えば位置決め制御ユニットの場合、目標位置などモーション制御用のデータを所定のメモリエリアに書き込み、所定のリレーエリアを操作して動作の開始と停止を行います。

 これらのアドレスはPLCベンダーごとに異なりますし、同じPLCベンダーであっても商品ごとに異なる場合があります。そのため、ユーザーはPLCベンダーごと、商品ごとにプログラミング方法を学習し、プログラミングする必要がありました。その解決に向け、Motion Control FBが提唱されました。

 Motion Control FBの狙いは、動作仕様やインタフェース仕様の標準化によるソフトウェア再利用性の向上と、トレーニングコストの低減です。FBは、簡便性(Simplicity)や効率性(Efficiency)、IEC 61131-3との一貫性(Consistency)などが考慮された仕様であり、IEC 61131-3のラダーダイアグラム(LD)やストラクチャードテキスト(ST)などで使用できます。また、モーション機能ごとにFBが定義されており、2014年1月現在でPart-1 version2.0に45FB(単軸制御、多軸の同期制御)、Part-4 version1.0に38FB(補間動作、座標変換)が定義されています。

 FBの仕様はPLCopenの技術仕様書に定義されており、Webで公開されています。

Motion Control FBのインタフェース

 複数ベンダー間での標準化を担保するため、Motion Control FBのインタフェースには3つの実装要求レベルが定義されています(表1)。基本(B)は必須の変数ですが、基本の変数全てを実装する必要はありません。

表1:実装要求レベル 表1:実装要求レベル(クリックで拡大)

 代表的なMotion Control FBであるMC_MoveAbsolute(絶対値位置決め)の入力変数/出力変数の実装状況を、PLCopen認証済みの国内外のPLCベンダー4社のFBで比較した例を表2に示します。MC_MoveAbsoluteはPart-1 version2.0の仕様です。各社の実装状況はPLCopenの“Compliance Statement of MC Suppliers”に基づきます。表中の“Yes”は実装されていることを示します。

表2:MC_MoveAbsoluteの入力/出力変数の実装状況(2014年1月時点) 表2:MC_MoveAbsoluteの入力/出力変数の実装状況(2014年1月時点)(クリックで拡大)

 表2のように、PLCopenの認証を受けたFBであれば、世界中のどのベンダーのFBであってもインタフェースがほぼ統一されていることが分かります。ただし、認証を受けたFBでも基本(B)や拡張(E)の実装状況はベンダーにより異なるので注意が必要です。基本や拡張の変数をより多く持つFBほど、ベンダー間での再利用性が高くトレーニングコストの低いFBだと言えます。

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