製造ERP(統合型業務管理)やSCM(サプライチェーン管理)システムなどをクラウド化する動きも徐々に広がってきている。
ERPシステムやSCMシステムは、大手企業では海外拠点なども含めて導入されているものの、中小規模の製造業にとって、海外現地法人それぞれでサーバを用意しERPシステムを導入、さらに保守人員を抱える、などの負担は非常に大きい。そのため、ERPやSCMが未導入であったり、本社のシステムと連携ができていないケースもまだ多く存在している状況だ。
一方、ASEANなどを中心に生産拠点を新設するケースや、主力工場を移転するケースなどがあり、より早期に柔軟なシステムを用意する必要性が高まっている。これらを解決するために、クラウドサービスとしてのERPおよびSCMのニーズが高まってきた。
これらの動きに応える形でベンダー各社はクラウド型のサービス拡充を急いでいる。NECとSAPは、クラウド型ERPサービス「SAP Business ByDesign」におけるビジネスでグローバル協業することを発表した。クラウドサービスとしての提供により、中小規模の海外現地法人への導入を進める狙いだ(関連記事:NECとSAP、海外現地法人への導入を狙い、クラウド型ERPサービスで協業)。
また、東洋ビジネスエンジニアリング(以下、B-EN-G)は、ERPパッケージ「MCFrame」の海外拠点向け版「MCFrame CS Start-Up Edition」を発売した他、SaaS(Software as a Service)版「MCFrame cloud」を順次提供していく計画を示している(関連記事:B-EN-G、MCFrameの海外版とクラウド版を提供――海外拠点の早期立ち上げを支援)。
その他、TISはMicrosoftのERPパッケージ「Dynamics AX 2012」をクラウド型で提供する「Microsoft DynamicsAX2012 グローバル導入サービス」を2014年2月から開始すると発表している(関連記事:TIS、中国・ASEANで活動の製造業向けにクラウドERP導入の支援サービスを開始)。
「いつの時代でも、新しい技術が登場した時に『それは必要ない』という人が何割かいる。しかし新しい技術に移行する人は必ずいて、そうした人たちが主流になる時に適応できないというのであれば、話にならない」と米Autodesk社長兼CEOのカール・バス氏は指摘する。
クラウド活用は確かにセキュリティやネットワークパフォーマンスの面でリスクがあることは事実だ。しかし、クラウドを活用することで容易に実現できることもある。これらのバランスを見極めて、うまく取り込んでいくことが重要ではないだろうか。
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