米Autodesk社長兼CEOのカール・バス氏は、「Autodesk University 2013」会場で日本記者団のインタビューに応じ「クラウド・ソーシャル・モバイルは避けられないものだ。その新しいやり方に対応していかなければならない」という見解を示した。
米Autodesk社長兼CEO(最高経営責任者)のカール・バス(Carl Bass)氏は2013年12月4日(現地時間)、同社ユーザー向けイベント「Autodesk University 2013」(米国ラスベガス、会期2013年12月3〜5日)会場で、日本記者団のインタビューに応じ、クラウド、ソーシャル、モバイルなどの新技術に積極的に対応していく姿勢を示した。
エンタープライズITでは、クラウド、ソーシャル、モバイルなどへの対応の動きは本格化し、これらに伴うオープン化の動きが加速している。しかし、CADなどの製造IT分野では、まだ始まったばかり。重要な製造データなどを外部に預けるセキュリティ面での不安や、大規模データを扱うためにパフォーマンスが不安定になることへの懸念は製造業の現場ではまだ根強いものがある。
しかし、これらの抵抗感に対し、バス氏は「クラウド、ソーシャル、モバイルの動きは避けられないもの。従来の方法を使い続ける人もいるが、新しい方法が出てきた時に移行する人はいる。そういう動きに対応していかなければならない。既に若い人々はクラウドを当たり前のものとして取り入れている。新しい方法への抵抗感にこだわり過ぎるのは間違いだ」と新技術を積極的に取り入れ、これらを推進していく姿勢を示した。
『過去のAutodesk University』の関連記事: | |
---|---|
⇒ | 「“VUCA”の時代を生きるには“外”を見ろ」――Autodesk University基調講演 |
⇒ | オートデスク、クラウドベースCAMへの参入を発表 |
⇒ | なぜクラウド製品やコンシューマ向け製品に取り組むのか |
⇒ | 3次元CADをクラウドで提供。ライセンス料「使いたい期間だけ」 |
⇒ | クラウドベースPLMとオープンな製品開発の行方は |
⇒ | いよいよデータ管理が一般化するのか!? |
バス氏の主な質疑応答は以下の通り。
―― 基調講演では「マインドセットを変える」ということを強調していたが、特に訴えたかったのはどういう点か(関連記事:「“VUCA”の時代を生きるには“外”を見ろ」――Autodesk University基調講演)。
バス氏 時代が大きな変化を迎え、技術や人々なども変わってくる中で「仕事のやり方を変える」ということが最も訴えたかった。古いやり方から新しいやり方に変える、その時に古いツールのままでいいのか、ということを投げかけたかった。
クラウド、コンピューティングパワーの進化、コラボレーション、モバイル、ソーシャルなど新しいやり方が次々に登場している。これらを使いこなす人々がどんどんと出てきている。そういう時に企業だけが今までのやり方でいいはずがない。ユーザーも考え方を変える時が来たということを訴えたかった。
―― クラウドを強化する姿勢を鮮明に打ち出したが、既存のデスクトップ型のビジネスモデルとぶつかり合うことについてどう考えているのか。
バス氏 当社はツールプロバイダーであり、顧客が望むツールを提供していくことが役割だ。既存のデスクトップ型製品も提供は続けていく。ただ、クラウドなど新しい技術に対応した製品を求める顧客がいるからこそ、新たな技術の製品を提供していかなければならない。
例えば、古い世代であれば企業内でもMicrosoft Officeは必須だと考えるかもしれない。しかし、私の息子のような若い世代では、Google Docsでクラウド環境を利用して文書管理などを行うのが当たり前になってきている。いつの時代でも、新しい技術が登場した時に「それは必要ない」という人が何割かいる。しかし新しい技術に移行する人は必ずいて、そうした人たちが主流になる時に適応できないというのであれば、話にならない。
クラウド、ソーシャル、モバイルへの対応は避けられないものだと考えている。これらへの移行は必ず進んでいく。そのため、これらへの対応は積極的に進めていかなければならないと考えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.