日産自動車は、EV「リーフ」をベースに開発した自動運転車を会場に展示し、ビデオ映像を使って主な機能を紹介した(関連記事:日産の自動運転車、高性能ワークステーションが“知能”を担う)。
自動運転車には、センサーデバイスとして車載カメラとレーザースキャナーがそれぞれ5個ずつ搭載されている。これらのセンサーからの情報などを基にして、自動運転の判断を行う車載コンピュータによって車両を制御する。例えば、「止まれ」の道路標識を検知して停止線で一旦停止したり、走行中にドライバーがボタンを押すと路肩に緊急停止したり、路肩に停車している車両が動き出さないことを確認して安全に追い越したり、信号のない交差点では他の車線を走る自動車を先行させて通過させたりするデモをビデオ映像で紹介した。また、自動で空きスペースを探して駐車する、遠隔自動駐車のデモビデオも来場者の注目を集めていた。
スズキは、ドライバーの居眠りやわき見運転による事故を防止するための「ドライバモニタリングシステム」を岩手大学と共同で開発した。このシステムでは、ドライバーの眼の虹彩位置や動き追跡を迅速に行うための新たなアルゴリズムを開発した。
特に、「多くの画像データの中から虹彩領域を高速に検出するため、遺伝的アルゴリズムと虹彩領域モデルを使い、少ない計算量で虹彩の検出を可能とした」(説明員)という。虹彩領域を特定した後、上下のまぶたを検知したり、目線の方向を算出したりして、ドライバーの状態を判断するという。
車車間/歩車間/路車間通信を活用した運転支援システムを搭載する実験車も紹介した。軽自動車「ワゴンR」、大型スクータ「スカイウェイブ」、電動スクータ「e-Let's」と異なるタイプの車両に搭載する通信ユニットは、システムの基本部分を共通仕様とし、交通情報や他車両の存在を知らせるためのHMI(Human Machine Interface)は、それぞれの車両形態に合わせた仕様となっている。
マツダは、路面電車との間で車車間通信を行う「アテンザ」ベースの実験車を展示した(関連記事:路面電車と自動車が700MHz帯の相互通信で衝突防止、マツダなどが実証実験)。
同社の本社が広島という地域性を生かし、広島電鉄の路面電車と実験車の間での通信と、自律型車載センサーを組み合わせることによる交通安全への効果を検証している。「自動車と路面電車の接触事故は意外と多い。この実験車であれば、路面電車の軌道を横切って右折しようとする場合に、後方から路面電車が近づいていると、車車間通信によって自動車のドライバーに路面電車の接近を知らせて注意を喚起する」(説明員)という。
トヨタ自動車は、高速道路や自動車専用道路向けの次世代高度運転支援システム「オートメイテッド ハイウェイ ドライビング アシスト(AHDA)」(関連記事:トヨタの自動運転はプラチナバンドの車車間通信を活用、2010年代半ばに商品化)や、テレマティクスサービス「G-BOOK」を通じて収集/蓄積したプローブ情報を加工して提供する「ビッグデータ交通情報サービス」(関連記事:トヨタ自動車がビッグデータ市場に参入、プローブ情報を自治体や企業に提供)、愛知県豊田市で実証運用している都市交通システム「Ha:mo(ハーモ)」(関連記事:超小型EV「i-ROAD」の国内版は1人乗り、2014年初からカーシェアで利用可能に)などを紹介していた。
同社は、車車間や路車間、歩車間での通信を行うことによる協調型ITSの実現を目指している。これらの通信システムの周波数帯には700MHz帯を活用する考えであり、従来よりも大幅に小型化した、車載通信機やフィルムアンテナ、歩行車用の通信端末のプロトタイプを展示していた。
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