日産自動車の自動運転車は、自動運転の操作判断を行う“知能”として、高性能ワークステーションを1台搭載している。自動運転の最中に、ドライバーが運転操作していないこと確認できる映像も紹介する。
日産自動車は、「CEATEC JAPAN 2013」(2013年10月1〜5日、幕張メッセ)において、2020年までの実用化を目指して開発している自動運転車のデモンストレーションを披露した。
走行デモでは、電気自動車(EV)「リーフ」をベースに開発した自動運転車の試験車両1台と、ドライバーが運転するリーフ1台(以下、他車両)を使用。幕張メッセのホール8全体を使って設定したコースに合わせて、ドライバーが運転操作を行わなくても自動運転車が自律的に走行する様子を見せた。停車している他車両の横を通過する場合に、他車両が発進するかどうかを確認したり、他車両が交差点を左側から横切ろうとする場合には、左方優先を守って停車したりするなど、周辺状況に合わせた自動運転を行う。
日産自動車の自動運転車は、センサーデバイスとして、車載カメラとレーザースキャナーをそれぞれ5個ずつ搭載している。車載カメラは、「アラウンドビューモニター」で使用しているアナログ方式のものではなく、より高解像のデジタル方式のものを使用している。レーザースキャナーは、Googleやトヨタ自動車の自動運転車に採用されているVelodyneの製品は用いていない。「車載カメラ、レーザースキャナーとも、量産車に採用する前提でデバイスを選択した。量産対応しないことが分かっているVelodyneのレーザースキャナーを搭載することは、最初から考えていなかった」(日産自動車)という。
自動運転を行うには、これらのセンサーから得た情報とデモコースの地図データを基に、ステアリングやアクセル、ブレーキの操作量を判断するための“知能”が必要になる。この知能の役割を果たすために、高性能ワークステーションが1台搭載されている。2012年のCEATECで、日産自動車が自動駐車のデモを行った「NSC-2015」には、PC10台分に相当する処理能力を持つ装置を搭載していた(関連記事:PC10台分の処理装置で自動運転を実現、日産が2015年の実用化目指す「NSC-2015」)。
日産自動車は、2013年8月に米国で開催した自社イベント「NISSAN360」で、電気自動車(EV)「リーフ」をベースに開発した自動運転車の試験車両を公開し、2020年までに自動運転技術を搭載した車両を量産販売する方針を発表した(関連記事:日産が2020年までに発売する自動運転車、「入手可能な価格で複数車種を用意」)。この際に公開した自動運転車には、高速道路走行用と市街地走行用の2種類があった。高速道路走行用は、ミリ波レーダーと超音波センサーが追加搭載されている。
今回のCEATECのデモに使用したのは市街地走行用である。CEATECのデモは、限定されたスペースで行うため速度は時速20km程度までしか出してない。しかし、「実証実験の際には、直線コースを時速65kmで走らせたこともある。市街地で利用する際の走行速度は十分カバーできていると考えている」(日産自動車)という。
なお、2013年9月に、国内の公道を走行するのに必要なナンバープレートを取得した自動運転車は、高速道路走行用をベースに、市街地走行を行えるように最適化した車両である(関連記事:国内でも自動運転車は公道を走れる、日産が実用化時期の「2020」でナンバー取得)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.