人口が大幅に増え将来的な成長が期待できるアフリカ市場だが、本格的な成長時期はいつになるのだろうか(関連記事:製造業も熱視線、最後のフロンティア「アフリカ」をどう攻める?)。
高崎氏は「まずは資源関連での経済の基盤作りが進む。アフリカの資源は未開拓なものが多く眠っており、中東のような石油・天然ガスの輸出拠点になる可能性を秘めている。保有資源に裏打ちされた経済成長は継続的に続く見込みだ。さまざまなリスクは抱えているが、20〜30年の間に本格成長に入るのではないか」と話している。
日系企業のアフリカ攻略において、リスクを避けるためには「本格成長期まで待つ」ということも選択肢の1つではあるが、指をくわえて待っているだけでは、アフリカでの存在感確保は難しい。アフリカでは、英仏などの旧宗主国が高い影響力を維持している他、中国や韓国が急速に投資を増やし、リスク覚悟でビジネスを獲得しようとしているからだ。
アフリカでビジネスを展開する中で不測の事態は常に起こり得る。日本企業がアフリカでの存在感を確保するには「リスクを減らしながら積極的に取り組む」姿勢が必要だ。
例えば、ある国で工場を建設している途中で政権が代わり新政権が不当な要求を企業に突き付けてきたことがあったという。しかし「その企業は複数国の政府系金融機関や国際銀行を巻き込んだ資金調達を行っていたため、多面的な支援が得られ事態を収めることができた。リスクを考慮した上で対策を行っていれば、損失を抑えることができる」(高崎氏)。
また、リスクを抑えながらアフリカビジネスを展開するには「南アフリカ共和国が1つの鍵を握るのではないか」と高崎氏は指摘する。ビジネス基盤が整っている南アフリカ共和国に進出し、まずアフリカでの基盤を確保しながら、その周辺国に進出していくという構図だ。「実際に多くの日本企業が拠点を南アフリカに設置し、その周辺市場の開拓に乗り出している。1つのアフリカ進出の形になりつつある」と高崎氏は語る。
さらに「工業団地の整備なども必要になる。しかしこの分野は中国が積極的な動きを見せており、日本は後手を踏んでいる。政府なども巻き込んで動きを作っていく必要がある」と高崎氏は話している。
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