では、問題点が多い中でも進出のメリットが大きく、成長が期待できる国はどこだろうか。JETROのアンケートによると「今後注目の国」の1位になったのは、日系企業の進出が最も多い南アフリカ共和国となった。
「南アフリカ共和国は、アフリカの中での経済大国としての地位を確立している。治安などの問題はあるものの、政情は安定しており、経済や生活の基盤が確立されていることが大きい。豊富な資源を持つことから中間層も成長し、消費市場としても拡大している。既に自動車では、アフリカ諸国への輸出拠点となっており、自動車メーカー各社が生産を行っている」と高崎氏は話す。
またサブサハラ地域は金融面での信用不安があるところが多く、資金調達などに苦しむことも多い。南アフリカ共和国は金融が安定しているため、サブサハラ地域への進出拠点を南アフリカ共和国に置く企業が多い。高崎氏は「資源や自動車だけでなく多様なビジネス展開が見え始めている。今後もアフリカビジネスの中核拠点として成長が期待される」と話している。
モザンビークも注目国として名前が挙がっている。モザンビークは約20年前まで内戦があり、アフリカの中でも貧困国という立場だった。しかし世界最大規模の天然ガス田を発見したことで一気に注目度が高まったという。このガス田の開発には三井物産が参画している。「モザンビークは、多くの資源を保有しており、インフラ開発も加速している。数十年後には資源をベースに経済発展したカタールのような国になるのでは、とも言われている」(高崎氏)。その他アンゴラは、石油開発が本格化し経済成長が続いている。タンザニアも資源開発による経済成長が期待されている国だ。
また「製造業の進出という意味で期待が大きいのがナイジェリアだ」と高崎氏は語る。ナイジェリアは、アフリカ最大となる約1億6500万人の人口を抱えている。また石油やガスなどの資源も保有し、経済的な潜在能力を抱えている。高崎氏は「意外に思うかもしれないが、アフリカは労働人材の確保が難しく、生産拠点となっている地域では人件費の高騰が進んでいる。その意味で多くの人口を抱えるナイジェリアのポテンシャルは非常に高い。法制度の整備などが進めば、今後成長するだろう」と話している。
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