電気制御盤の配線作業の現場にも脱“紙”の流れがやってきた。電気系CADのタブレット対応やユーザーインタフェースの進化により、配線作業現場で画面を見ながら作業を行う流れが出てきた。DMS2013での電気系CADのトレンドを追った。
メカ系CADと同様に、電気系CADも着実に進化を続けている。電気制御盤などの盤レイアウト設計が着実に重要を増す中、「設計・製造ソリューション展(DMS2013)」(2013年6月19〜21日、東京ビッグサイト)(特集ページ)では、タブレット対応や分かりやすいユーザーインタフェースにより、配線作業者の作業効率化への提案に人気が集まった。
エレメカ協調設計を推進する図研では、産業機械向け電装・制御ケーブル設計ソリューションの「E3.series」を中心に訴求。設計情報を1つのデータベースで統合管理し、リアルタイムで複数種類の図面間での情報連携を実現できる利点などを訴えた(関連記事:エレメカ協調設計のカギを握る、軽量3次元データフォーマット――図研)。
また、同社と資本・業務提携を結ぶラティス・テクノロジーの軽量3次元データフォーマット「XVL」により、盤レイアウト設計情報をタブレットに表示。制御盤のケーブル接続のタイムトライアルを体験できるコーナーを用意し、紙の回路図による配線作業の難しさと、3次元表示の分かりやすさを比較した。
図研プリサイト事業部マシナリー&ビークル営業部 E3営業課主任山崎裕氏は「メカと比較して電気系の作業はまだ紙の回路図による作業が中心。3次元情報やタブレットの活用による作業効率化をアピールしていきたい」と話している。
ワコムは、2014年3月に発売予定の「ECAD dio DCX」を中心に、電気設計専用CAD「ECAD dio」シリーズを紹介した。ECAD dio DCXは新設計エンジン「動的回路整合化システム」などを搭載し、大幅な作業効率改善を実現する同社のフラグシップラインで、発売に向けて製品価値の訴求を図った。
一方で、同社がECAD dioを導入した石川県金沢市の自動化制御盤メーカーアイデンでの事例を出展。図面の検証作業、測長、配線ルート検討などがPC上で行える利点に加え、合わせて導入したタッチパネルモニターにより作業が容易になった点を訴求した。展示では、実際の電気制御盤を用意し配線体験が行えるようにした。モニターによる情報表示で誰でも簡単にケーブル接続が行えることを訴えた。
ワコム ジャパン・アジアパシフィック統括本部ソフトウェア営業本部ソフトウェア営業部ソフトウェアマーケティンググループ マネージャーの堀内泰明氏は「アイデンさんでは、回路図を読めない新入社員でも制御盤の配線ができたというエピソードを聞いた。熟練作業者の人手不足が今後深刻になる中、誰でも短時間で作業でき、品質を確保できるソリューションとして、提案を進めたい」と話している。
システムメトリックスは、独EPLAN Software & Service(以下EPLAN社)の電気CADシステム「EPLAN Electric P8」やハーネス設計システム「EPLAN ProD」制御盤筐体用3次元CADシステム「EPLAN ProPanel」などを出展。EPLAN社はグローバルで多くの実績を持つ電気系CADベンダーで、3万社の顧客を持つという。日本では2012年から展開を本格化しており、導入拡大に取り組んでいるところだ。グローバル展開に対応し、設計データの統合データベースがある点などが特徴。また世界の主要部品メーカーのデータが登録された部品ポータルサイトを持つ点も強みだという。
EPLAN社テクニカルマネージャーの雨海真人氏は「グローバルで多くの実績を持つため、スペックはもちろんだが、利用する上で最適な使いやすさなどを備えているところが特徴だ。今後はより日本での認知度向上を進め、導入を増やしていく」と話している。
電気制御設計用CADシステム「SchemELECT」を展開するエフ・ティ・ゼット・ジャパンは、ハーネス設計用CADシステム「SCHEMHARNESS」や制御盤筐体用CADシステム「SCHEMBAN」などを合わせてアピール。同社は仏FTZ Informatique Industrielleの日本法人だが、1993年から展開を開始しており、2013年は20周年を迎える。
同社のシステムは、設計情報のデータベースによる一元管理や部品データベースを持つ点などが特徴。また20年に及ぶ日本での展開により、日本の設計・製造環境への対応を進めていることも強みだという。
エフ・ティ・ゼット・ジャパン電気CAD事業部マネージャーのマシップ・フレデリック(Frederic Massip)氏は「2012年から盤レイアウト設計関連の動きが良く、エンジニアリング会社や制御盤メーカーへの導入が続いている。当社のシステムは盤に特化しているため使いやすく、初期コストも安く抑えられる点が強みだ。さらに提案を広げていきたい」と話している。
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