省エネすれば、品質が上がる!?――オムロンと三菱電機がエコ工場技術を提案製造ITニュース DMS2013(1/2 ページ)

「工場の省エネはやり尽くした」との声もあるが、現場のプロセス全体を見たとき、まだまだ“見えない無駄”は残されている。DMS2013では、オムロンと三菱電機が管理技術による工場の“見える化”を進めて省エネを図る、エコファクトリ―技術を出展し、省エネと、工場の性能向上を両立する技術として注目を集めた。

» 2013年06月24日 13時00分 公開
[三島一孝,MONOist]

 製造現場の電力量削減は、取り組みが早期から始まっていたことに加え、省エネ製品の導入が一巡して以降、それほど使用電力量が下がらない状況が続いている。製造現場では「これ以上は限界だ」との声も聞こえてくるが、制御技術を有効活用することでさらなる省エネや業務改善ができるとオムロンや三菱電機は訴える。「設計・製造ソリューション展(DMS2013)」(2013年6月19〜21日、東京ビッグサイト)(特集ページ)では、両社が省エネだけでなく生産製品の品質向上などにもつながるエコファクトリー技術をアピールした。



省エネ大賞受賞の環境あんどんをアピールしたオムロン

 オムロンは、同社工場で培った省エネノウハウを実装した「ECOものづくり」支援ツール「環境あんどん EQS-AD10」(以下環境あんどん)、「センサーネットワークサーバ EQ100」(以下EQ100)を出展。工場の各種データを“見える化”し、それを基にコミュニケーションを図ることで各種「カイゼン」を実現することを訴えた。

 同社では、環境経営ビジョン「グリーンオムロン2020」を策定し「ECOものづくり」を推進。その一環として取り組む工場の省エネ化活動の中で、同社綾部工場の省エネ環境改善事例『“環境あんどん”による工場の「診える化」と「最適化」ECO活動』が、2012年度省エネ大賞で「経済産業大臣賞」を受賞している(関連記事:オムロン逆転の発想、「カイゼン」と「省エネ」は同じことだった)。

 環境あんどんとEQ100はこの省エネ活動の中心となった製造現場における電力および関連指標の可視化ツールとセンサーネットワークサーバを商品化したもので、2013年6月から販売を開始している(関連記事:工場の省エネにカイゼンの気付きを――オムロン、省エネ大賞受賞の工場省エネツール「環境あんどん」を商品化)。

 可視化ツール「環境あんどん」は生産性や品質を維持しながら省エネを推進する“診える化”ツール。電力はもちろん、生産に関連するさまざまな指標を合わせて表示することで、生産性や品質維持に影響を与えることなく省エネにつながる“気付き”を生み出せることが特徴だ。一方、EQ100は、環境あんどんに効率よくデータを収集するためのサーバ。電力データに加えて、パーティクル(微小なちり)の量やエア流量、温度など、製造現場の電力使用に大きな影響を及ぼす因子のデータを、LAN、RS-485、920MHz無線という複数の通信形態で収集する。

オムロンの環境あんどんおよびEQ100による工場“見える化” オムロンの環境あんどんおよびEQ100による工場“見える化”の展示(クリックで拡大)

省エネと生産性向上はトレードオフではない

 オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニーのASC推進事業部企画部事業推進課課長の鳥本克己氏は「重要なのはシステムではなく、“見える化”を実現することで、表面化してこなかったアイデアが現場から生まれてくることだ」と強調する。

 「従来省エネ活動と、品質改善や生産性改善などの工場の本質的な業務は、トレードオフの関係になると考えられてきたが、実際はそうではない。実践した当社綾部工場では、工場生産電力を16.6%減少(2012年3月期)したが、クリーン環境におけるパーティクル量の削減など、生産性改善につながる効果も得られている。さまざまなデータをまず見えるようにするだけで、改善のアイデアは次々に生まれる。省エネだけでなく、日本もモノづくり力強化に貢献していく」と鳥本氏は話している。

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