厳しいグローバル競争の中、日本の製造業は事業基盤強化への取り組みを急ぐ。その中で、NECと富士通は、ITシステムだけでなく、自社の製造業としてのノウハウを生かし、製造業の生産革新運動全体をサポートする取り組みを強めている。
厳しい立場に立つ日本の製造業。工場内での高度な生産体制は長らく日本の製造業の強みとなっていたが、グローバル化が本格化し、最適地生産へのシフトが進む中、生産体制についても新たな革新が求められている。
これらの流れの中、NECと富士通は、ITシステムだけでなく、自社の製造業としてのノウハウを生かし、モノづくりにおける業務プロセス革新などのコンサルティングからITシステムの導入、運用などを丸ごとサポートする取り組みを進めている。「設計・製造ソリューション展(DMS2013)」(DMS2013特集)では、両社ともにこれらの取り組みを中心にアピールしている。
NECでは、2012年10月から展開する製造業向けソリューション「ものづくり共創プログラム」を中心に、製造業の生産革新に最適なソリューションをアピールした。
「ものづくり共創プログラム」は、自社で培った生産のノウハウを生かし、モノづくりのプロセス改革やITシステムの導入、コンサルテーションなど、モノづくり革新活動を一環してサポートするソリューションサービス。課題の発見や解決策、モノづくりのノウハウ提供まで一貫して提供できることが特徴だ。実際に工場現場の担当者を顧客工場に派遣するなど、一体となって生産革新に取り組んでいくものだ。
NECは、PCやサーバなどのBTO生産品から人工衛星などの個別受注製品までさまざまな製品を生産。また約15年前からは「NEC Production System研究会」という生産革新活動を行う組織を立ち上げ、トヨタ生産方式を元にNEC独自のノウハウを組み合わせた生産方法の確立を図ってきた。これらのNEC社内で積み上げてきたノウハウにユーザー企業のノウハウを加えて、共に日本型のモノづくりの成功事例を作り出していくのがこのプログラムの狙いだ。
同社第一製造業ソリューション事業部販売促進グループ長の関行秀氏は「グローバルの最適地生産や品質問題などからモノづくりのオペレーションのさらなる向上へのニーズは高まっている。2012年10月の発表以降多くの問い合わせもあり、DMS展でのアピールによりさらにユーザーを拡大したい」と話している。
DMS2013では、このものづくり共創プログラムの中に同社のPLMシステム「Obligato III」など個別の商品展示を組み入れて全体の流れを紹介。ものづくり共創プログラムのブースセミナーを行う他、コンシェルジュや体験コーナーなども用意した(関連記事:モノづくりを丸ごとサポート!――NEC、「ものづくり共創プログラム」を出展)。
また、自社のグローバル生産管理システム刷新の事例(関連記事:NEC、自社のグローバル生産管理システムを刷新――2016年3月期までに全社導入を目指す)など、NECグループ各社での生産革新活動の実践事例などを数多く紹介し、日本の製造業復活に貢献していく方針だ。
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