本連載では、新しい領域にチャレンジする中小製造業の“いま”を紹介していきます。今回は、自社開発の靴下が「大阪・関西万博」の会場スタッフ用ユニフォームに採用された、西垣靴下の代表取締役社長である西垣和俊さんにお話を伺いました。
本連載はパブリカが運営するWebメディア「ものづくり新聞」に掲載された記事を、一部編集した上で転載するものです。
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奈良県大和高田市に本社を構える靴下メーカー、西垣靴下が製造した靴下が、「2025年大阪・関西万博」(以下、大阪・関西万博)の会場スタッフの公式ユニフォームの一部に採用されました。2025年2月21日には、同社が提供する1万足の靴下が、万博会場のスタッフへ無償で配布されています。
万博のスタッフに無償提供されたこの靴下は、一体どのような特長を持っているのでしょうか。製造を手掛ける西垣靴下と販売を担うエコノレッグ、両社の代表取締役社長である西垣和俊さんにお話を伺いました。
ものづくり新聞 今回、大阪・関西万博のサプライヤーとして、会場スタッフの公式ユニフォーム用に1万足の靴下を寄付されたと伺いました。こちら(以下、写真)がその靴下でしょうか?
西垣さん はい、これが万博に寄付した靴下です。もとになっているのは、東大阪の18社の工場で働く皆さんと一緒に開発した「疲れしらずのくつした」なんですよ。
当時(2016年)、業種や地域を超えた連携で新しいモノづくりをしようというセミナーが開かれまして、そこに参加した当社の社員が「うちは疲れにくい靴下を目指して作っています」とあいさつをしたんです。すると、その場にいたある会社の社長さんが、「従業員に疲れにくい靴下を履かせてやれるなら、ぜひ作りたい」と言ってくださって。そこから話が進んで、2016年から2年間かけて開発しました。
ものづくり新聞 2年もかかったんですか!?
西垣さん せっかく作るんですから、納得のいく良いものを作りたいですよね。試作品を皆さんに履いてもらって、2〜3カ月ほど、日常生活で洗濯しながら使ってもらい、感想をいただくんです。それをベースに作り直して、また履いていただいて、感想をもらう……。そんなことを3回ほど繰り返したら、めちゃくちゃ良いものができると思いませんか?
その人が満足する靴下とは、どういうものなのか――。それはその人に教えてもらうのが一番なんです。それが、私たちの考える“共同開発”なんですよ。うちの場合、長くて2年、短くて1年くらいかけて商品を開発しています。「それが欲しい!」という方と一緒に開発するからこそ、高機能な靴下になっていくんです。
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