コグネックスは、三菱電機製シーケンサに対応した工業用カメラおよび画像認識ソフトウェアの新製品を発表した。海外も視野に、三菱電機と共同でFAソリューション販売を展開する。
2012年4月24日、コグネックスは工業用カメラおよび画像認識ソフトウェア「In-Sight EZ-700」シリーズを発売した。700シリーズは、EZシリーズの特徴であるプログラムレス設定に加え、文字読み取り機能やIP67相当の防じん性を持つ。従来品での電力供給はPower over Ethernet(PoE)方式を採用していたが、新製品では24VのDCコネクタが用意されている。また、外部照明電源への電力供給モジュールを搭載しているため、製造ラインの敷設ケーブルを削減できる。同社では、IP67対応外部照明も提供する。
同製品の設定は、半自動で行われる。三菱電機のシーケンサは独自の制御用プロトコルである「MCプロトコル」で制御するが、コグネックスでは、これを拡張した独自機能「MCプロトコルスキャナ」を提供している。MCプロトコルスキャナを利用すると、画面操作だけで機器間の自動設定が可能になる。これにより、ラインの稼働/再稼働を現場レベルで速やかに行えるようになる。稼働率を上げ、製造コストを押し下げる効果が期待できる。
「画像処理技術の応用範囲は非常に広い。FAで高いシェアを持つ三菱電機との協業で複合的なソリューション提供を進めている」(コグネックス マーケティング本部長 北山基樹氏)
同社製品は独自の画像認識技術「PatMax」をベースとした精度の高いバーコード読み取り(「IDMax」)が特徴だが、EZ-700シリーズではPatMaxのアルゴリズムを応用したOCR技術「OCRMax」を搭載している。これにより、バーコードや図形だけでなく、文字認識が可能になった。
「海外生産における製造品質のチェックを目的とした引き合いも増加傾向にある。遠方の製造拠点においても品質を一定に保つためには、画像認識技術を活用した仕組みが必要だと判断する企業が多いようだ。また、製造装置のロボットハンドへの設置ニーズも増えている」(北山氏)
ロボットハンドへの設置では、主に海外の多数の拠点でロボットを採用した生産ラインを構築している自動車メーカーの要望が中心だという。コグネックスは、グローバル生産体制を推し進める自動車メーカー各社のニーズに対応するため、自動車製造ライン専門チームを構築して対応しているという。
同製品の販売においては、コグネックスのAutomation Solution Provider認定を受けた三菱電機の販売代理店約30社が、両社の製品を複合的に提供する。
「三菱電機では、自社でサーボやインバータ、シーケンサなどを包括的に提供する一方で、工業用センサーなどの製品を持たない。工業用カメラおよび画像認識のノウハウを持つコグネックスと共同でソリューション展開する利点は大きい」(三菱電機 機器事業部長 神田正志氏)
「三菱電機では、FA海外事業部を中心に海外展開を進めている。海外でのソリューション提案もコグネックスと共同で展開していく考え。直近ではEMS系企業での大型設備投資が期待できることから、海外での受注も増加することが期待できる」(神田氏)
三菱電機 FA海外事業部では、既に中国や東南アジアへの展開を進めており、新たにインドや中南米での展開も推進している。
三菱電機では、自社セールスエンジニアにもコグネックス製品のスキル向上を図っていく予定だという。両社は今後、共同でセミナーや展示会出展などを進め、共同ソリューションをPRしていくとしている。
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