2011年6月22〜24日に開催された「第22回 設計・製造ソリューション展」の今回の注目展示を紹介。本稿では特に生産現場〜基幹システム向け製品にスポットを当てる。
2011年6月22〜24日に開催された「第22回 設計・製造ソリューション展」。本稿では特に生産現場〜基幹システム向け製品にスポットを当てる。今回の注目は、本格的に始まったタブレット端末の生産管理・基幹システムでの採用だ。紙に慣れたスタッフの作業性を考慮した仕掛けにも注目したい。
生産スケジューラで知られるシムトップスのブースは主力製品「DIRECTOR 6」のほかに、展示会で初披露となった現場支援サービスが注目だ。図面や帳票などを画像だけでなく文字情報としてデジタルデータ化する「ConMas Digitalizer」と、帳票に手書きするようにデータ入力ができるタブレット端末向けの帳票アプリケーション「ConMas i-Reporter」だ。
両製品とも、機能の肝となるのが手書き文字認識の精度だ。図面などに自由に記入された文字も高い精度で認識できるのが特徴。このOCRエンジンにより、紙データの電子化と再利用性を実現し、かつ、現場の作業負荷がかからないよう、新規のデータ入力については紙のデータ同様の使い勝手を実現している。
「ConMas Digitalizerは文字認識の精度が非常に高いのが特徴。図面や帳票に、縦横斜めと自由に記入されている手書き文字をかなりの精度で認識し、テキストデータ化できます」(ブース説明員)
紙から電子化を進める際には、蓄積されている印刷物のナレッジが切り離されてしまう懸念がある。図面に書き加えられた技術者の意図や情報が欠落してしまうのは企業にとって決して少なくない損失だ。
「いままでは、紙出力された帳票を電子化するといっても、画像スキャンして保存しておくことがほとんどで、検索性や再利用性には寄与しないものだった。画像とともに文字情報をできるだけデータとして吸い上げておくことで、電子化もスムーズに進められるようになる」(同)
同製品は帳票をそのままタブレット端末アプリとして利用することも可能。また、文字認識は既存の手書き文字映像だけでなく、タブレット端末のタッチパネルを利用し、タッチパネル上で手書きした文字のOCRも可能だ。
デモでは、電子帳票上で、タブレット端末付属のカメラを連携し、その場で画像を撮影、キーボードデバイスなしで手書き文字入力する実演を見せてくれた。現場で修理報告をする際にも、カメラ撮影した画像を張り込み、手書きで簡単に帳票生成ができる。
「かなり雑だったり癖のある文字でも問題なく認識できます」(同)
同社のサービスは、OCRエンジンをクラウドサーバ上に置いて処理し、結果の文字情報を端末に返す仕組み。
セキュリティを担保するため、帳票は項目ごとに区切り、項目ごとに必要があれば文字認識を行う。単体の項目だけでは知財に抵触する情報量には至らないようになる。また、クラウドサーバ側はあくまでもOCRエンジンとして機能するもので、データ保有は一切行わないため、クラウドサーバ側からの情報漏えいの心配はない。
「従来同様の販路はもちろん、帳票を扱うさまざまなケースへアプローチしていきたい」(同)という。
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