仮想と現実を融合しヘッドマウントディスプレイ(HMD)で違和感なく組み合わせて表示するキヤノンのMR技術「MREAL」が進化。「3D&バーチャル リアリティ展(IVR)」では、新たに手持ちディスプレイなどを紹介した他、建機メーカーなど大型機械や設備などのモノづくりの現場での活用事例が紹介された。
ヘルメットにゴーグルがついたHMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)を装着すると、そこには実際には存在しないショベルカーが見える。頭を動かすと違う角度から見ることができ、実際の大きさでデザインや使用性、安全性などを検討できる。車体はCADからデータを自動で取得したCG。ボディに頭を突っ込めば、内部機構も見ることができる。ディスプレイ上だけでは体感できないリアルな大きさを感じながら、新たな製品検討を行える――。そんな新たなモノづくりの世界がもうそこまで来ている。
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MR(Mixed Reality)とは、バーチャル・リアリティ技術の一種で、現実と仮想を違和感なくシームレスにリアルタイムで融合させる映像技術のこと。セカイカメラなどで注目されたAR(拡張現実)などもMRに含まれる。キヤノンでは1997年から研究に取り組んできたが、2008年に事業性の検証を進め、2012年にMRシステム「MREAL」を商品化した(関連記事:試作レスが加速――現実とCGを融合「MRシステム」キヤノンが発売)。
「MREAL」は、「ヘッドマウントディスプレイ HM-A1」と基本ソフトウェア「MRプラットフォーム MP-100H」をシステムの中心としたもの。独自の光学技術と高精度な位置合わせ技術を活用し、HM-A1を装着すると、移動などを自由に行いながら現実と仮想を組み合わせた世界を体験できる。
これらをモノづくりの現場に活用しようというのがキヤノンの提案だ。2012年の発表から1年かけて、数多くのモノづくり現場に提案を進めてきた。「3D&バーチャル リアリティ展2013(以下、IVR2013)」(2013年6月19〜21日、東京ビッグサイト)では、専門セミナーにMR事業を担当するキヤノン イメージコミュニケーション事業本部MR事業推進センター所長の鳥海基忠氏が登壇。キヤノンの社内事例の他、日立建機や主要自動車会社、大手建設会社などに活用された事例を紹介した。
鳥海氏は「リリース当初は設計やデザイン部門でそのまま活用してもらうことを想定していたが、1年間の取り組みで設計・デザイン部門で使うのではなく、他部門とコミュニケーションするために使うべきものであることが分かった。MRによりCADなどの知識がなくても実物をイメージできるため、構想段階の試行錯誤などをマーケティング部門や販売部門を含めて行うことができる。特に建機や自動車、住宅などディスプレイ内ではイメージしにくい大きなものを扱う企業からは反応がいい」と話す。
また、IVR2013ブースでは、ヘッドマウントディスプレイに加え、新たに手持ちで簡単に利用可能なディスプレイを用意し、同じ歌舞伎役者の実写映像を数人で同時にさまざまな角度から見られるデモなどを行った。またゲーム向け3DグラフィックスをMREALに融合表示できるプラグインソフトウェアの発表や、新たなパートナーとの提携などを発表している。
鳥海氏は「まずはMRというものを知ってもらえるようにしていく。そのためにはより多くのパートナーと関係を作っていきたい」と話している。
会期 2013年6月19〜6月21日 10:00〜18:00※最終日のみ17:00終了
会場 東京ビッグサイト
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