工場の現場改善を定量化する科学的アプローチを可能にする手法を学習する本連載。第13回は、前回説明した「有効作業分析法」について、中量産/量産向けを事例として、フローチャートや表を使ってできるだけ分かり易く実践に即した説明を行います。
前回に引き続き、今回も「労働生産性の向上に役立つ有効作業分析法とは何か」がテーマになります。前回で概略を説明した「有効作業分析法」については、読者の皆さまにはおおむねご理解いただけているのではと思います。
今回は、職場の生産形態や管理方式に合わせた有効作業分析法のレベルの中で、前回記事の表1で示した、繰り返し作業の職場に適用する“中量産/量産用「有効作業分析B」”について、できるだけ分かり易く、実践に即した説明をしていきます。今回の記事を参考にしながら、自社内の職場で実際に試して分析に慣れていただき、効果を実感してほしいと思います。
前回の説明と重複する部分もありますが、より理解を深めることと、関連事項について復習の意味も込めて、あえて簡単な重複説明を加えております。
「有効作業分析B」の適用範囲としては、前述の通り繰り返し作業における正味作業の有効作業分析に適用します。
「有効作業分析B」の目的は、作業者の作業や動作を要素別に分け、これらを有効作業や有効動作と、無効作業や無効動作に分類することによって無駄な作業や動作を明確にします。無効と分類した項目については、改善あるいは排除によって作業者の作業や動作の有効作業率を向上し、全体としての作業効率の向上を図ることを主な目的としています。
製品あるいは部品の形状、寸法、性質、状態などを変化させるために必要な作業や動作を「有効作業/有効動作」といいます。例えば、組み付ける、治具に材料や部品をチャックする、はんだ付け、機械設備などの起動スイッチを押す、取り外す、ねじを締める、ラベルを貼る、線を巻き付ける、洗浄する、治具や型に乗せるなどです。
ただし、有効作業/有効動作であっても、標準時間(ST:Standard Time)よりも過剰に時間を費やしているレベルの低い作業や動作は無効とします。
基本的に、有効作業以外の作業や動作を「無効」といいますが、次のような項目が該当します。
図1中に示す“生産タクト”は、1日の就業時間から個人余裕時間を除いた実稼働時間を1日の生産台数で除した値をいいます。個人余裕とは、トイレに行ったり、汗を拭ったり、水分を補給したりなどの作業者個人の生理的/保健的理由への対応や権益保護に必要な遅れ時間のことをいいます。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.