慶應義塾大学 グローバルセキュリティ研究所は、ロボット技術を応用した未来のパーソナルモビリティ「Curimo(キュリモ)」を“企画構想”し、その成果をWebサイトでプロトタイプ化。そこに描かれた構想の評価や意見・アイデアを一般から募集する実験を開始した。
慶應義塾大学 グローバルセキュリティ研究所は、ロボット技術を応用した未来のパーソナルモビリティ(1人乗り移動機器)「Curimo(キュリモ)」を“企画構想”し、その成果をWebサイト(http://curimo.com/)でプロトタイプ化。15年後のパーソナルモビリティ・ロボットサービスを検討する材料として、そこに描かれた未来構想の評価や改善につながる意見・アイデアを、一般から募集する実験を開始した。2012年12月10〜31日までの期間、インターネット上でアンケート(全10項目)を実施している。
今回の取り組みは、ロボット技術の応用によって人間の共感力を引き出す「共感インタラクション」をテーマとするロボティックサービスデザイン(RSD)研究プロジェクトの一環として行われるものである。
本研究では、パーソナルモビリティを提供する架空企業コラボティクス社が、2028年にロボット技術を応用したパーソナルモビリティCurimoを発売することを想定し、その製品や機能、サービスの概要・魅力を、架空の製品Webサイトや企業Webサイト(http://collabotics.com/)を通じてプロトタイプ化している。
2028年に発売されることを想定したCurimoは、パーソナルモビリティであり、人工知能とインタラクション機能を備えた「パートナー」モビリティでもある。「Curious Engine」と呼ばれる好奇心追求行動プログラムが搭載されており、Curimo自身が「知りたい」「会いたい」「走りたい」という好奇心を備え、利用者と行動を共にすることで成長していく。Curimoは利用者に誘いかけ、行きたい場所を提案し、外出のきっかけを作ってくれる。利用者の行動力と好奇心を呼び覚ますことができる、ロボットのいいところと、自動車のいいところを凝縮したような未来の製品である。
今回、慶應義塾大学 グローバルセキュリティ研究所が実施している、こうしたプロトタイプ手法のことを、サービスデザインの分野では「リバース考古学」と呼ぶ。リバース考古学に基づいたプロトタイプ実験を用いることで、まだ見ることのできない未来社会の暮らしやビジネスを、その証拠物件を通じて想像的に描き出す効果がもたらされる。未来のシナリオを前提として、これからの社会におけるロボット技術の意義や、その研究・応用から誕生するサービス/ビジネスのイノベーションの可能性について、議論が始まるきっかけとなることを期待しているという。
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