日本マイクロソフトのブースでは、カメラや深度センサー、マイクなどによって人の動きを検知する入力デバイス「Kinect for Windows センサー(以下、Kinectセンサー)」を活用したさまざまなソリューションが展示されていた。
その中でも注目したいのが、東洋大学 生体医工学研究センターが開発した「側湾症計測システム」だ。これは100人に1人程度と高い発症率を持つ脊柱側湾症を、早期発見するために開発されたもの。Kinectセンサーを使って、被験者の体表面の形状を1mm単位で計測し、側湾症の進行度合いを数値化して、定量的に評価できるというものだ。従来、側湾症の検査にはレントゲンが用いられてきたが、X線を何度も照射することによる影響が問題となっていた。このシステムを用いることで、安全かつ正確に計測できるようになるという(関連記事1)。
ユニダックスが展示デモしていた幼稚園向けの「運動能力計測システム」も、かなりユニークで実践的なソリューションだった。これは、Kinectセンサーの骨格認識機能を利用して「走る」「投げる」「飛ぶ」といった動作を計測し、幼児の運動能力を測るというものだ。身体運動科学の専門家である東京大学大学院の深代千之教授の監修によって開発されたもので、2013年4月に開園予定のバイリンガル幼稚園「Kids Duo International(KDI)」への導入が決まっているとのことだ。
その他、佐鳥電機が開発した「フィンガージェスチャーソリューション」にも注目したい。こちらは、指先と手の動作を検出することで、指先によるジェスチャーだけでさまざまな操作を行うユーザーインタフェース。指先の動きに画面上のカーソルが追従し、アイコンの上を一定時間ポイントすることでメニューなどを選択できるようになっている。「円を描くような動きを検出できるようにすることで、さらに高度な操作が可能になる」(説明員)とのことだ。導入シーンとしては、「医療機関や福祉施設などの用途を想定している」と説明員は話していた(関連記事2)。
Kinectセンサーのソリューションは当初、人の動きを検知して反応するデジタルサイネージなどの応用例が多く見られたが、このように高度な活用事例も登場してきている。家電や情報機器のスマート化に重要なユーザーインタフェースの問題を解決するソリューションとして、今後の発展に期待したい。
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